ロータス(LOTUS)の新型、エヴァイヤという名は「最初の存在」という意味を持つという。同社の慣例にならい頭文字は ”E”だが、その名の通り従来のロータスとはまったく異なる新しいモデルだ。なんとエヴァイヤは、EVである。
その中身は完全にゼロから構築された。電動パワートレインは技術提携を結ぶウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製。CFRPモノコックは伊モデナのCPC社製だ。新たな技術者もぞくぞくと集結している。つまりエヴァイヤは、親会社ジーリーの豊富な資金によって生まれた、これまでのロータスとの繋がりがほぼないモデルなのだろうか?
そんな思いが晴れたのはJAPAN LOTUS DAYの会場、富士スピードウェイだった。ロータスは英国、アメリカに続くエヴァイヤのお披露目の場所に、ここ日本を選んだのだ。
オープニングで流れた動画の中に、見知った顔があった。30年以上ロータスに在籍するエンジニア、リチャード・ラッカムだ。初代エリーゼを世に出したキーパーソンの1人で、エヴォーラにも深く関わった彼が、現在ロータスのコンセプトカー部門を率いている。
来日したデザイナーで、在籍20年になるバーニー・ハットによれば、エヴァイヤの車体の中に空気を通し、機能と個性を両立させた多孔性(ポロシティ)というコンセプトは、ラッカムのアイデアだ。
パワーユニットが小さなEVだからこそ産まれたもので、その結果「自然が生み出した、水の流れによって産まれた谷のような、美しい造形に繋がった」という。以前はラッカムと意見がぶつかることも多く「空力を追求しすぎると美しいクルマにならない。エヴァイヤでやっと彼と上手くバランスが取れた」とハットは軽口をたたく。
またエヴァイヤはロータスらしいハンドリングを実現すべく、あえて電動油圧式パワー・ステアリングを採用している。どうやら先人たちの英知や伝統は確実に受け継がれているようだ。
そうなると俄然気になるのは噂される次期型エリーゼやエキシージだ。ハイパーカーというコンセプトを実現するためエヴァイヤはEVになったが、ロータスは内燃機関を見限ったわけではなく、様々な可能性を探っている。別れ際ハットは「期待して欲しい」といい笑顔を見せた。
文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人
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