最近、いわゆるプレミアム・ブランド が"ライフスタイル"という言葉を使うようになった。「このクルマを買ったら、貴方のライフスタイルがこれまでとは違ったものになりますよ」みたいな、ちょ っとお節介なビジネス・モデルのようだけれど、正直に言ってピンとこない。
クルマを買ったらライフスタイルが変わるのではなく、みんな自分のライフスタイルに合ったクルマを買うんでしょうと自分なんかは思ってしまうからである。
レクサスも自らを"ラグジュアリー・ライフスタイル・ブランド"と標榜するメーカーのひとつである。『インターセクト・バイ・レクサス』と呼ぶ"ブランド体感スペース"を日本のみならずニューヨ ークやドバイにも展開したり、『ダイニン グアウト』という限定の屋外レストランをオープンしたり、『クラフテッド』の名の下に若い職人の手による商品の販売を行うなど、さまざまな試みを続けている。
レクサスは高級ヨット「LY650」を発表、LS、LC、LXに次ぐ第4のフラッグシップとして販売を開始した。65フィートのヨットはボリューム感のある造形で、サイド・ウインドウのモールの形状はLC を彷彿とさせる。メイン・デッキの下に 3つの寝室、上に操縦席を置く構造で、CFRPやGFRPを積極的に使い、高剛性・軽量なボディとした。
試乗したLY650はすでにお客が付いているそうで、内装にはオーナーの要望が反映されている。家具やトリムなどの素材はもちろん高品質のものばかりなのだけれど、建て付けや取り付けの精度と剛性感が見事で、レクサスのクルマにどことなく通じると感じた。
操舵手に話を聞くと、通常のこのサイズのヨットよりも操縦に対するレスポンスがよく運転しやすいという。クルマに似ているのは見た目だけではないようだ。これならば、レクサスLC500でマリー ナまでのドライブを楽しんだ後にLY650 のステアリングを握ったとしても、違和感は感じないかもしれない。
そんなことを考えていたら、LCには乗ったことがある自分は、免許も経済力もないくせにLY 650を無性に操縦してみたい欲求にかられてしまった。レクサスのライフスタイル・ブランド戦略に、まんまとはまってしまったようである。
レクサス ホームページ https://lexus.jp/
文=渡辺慎太郎 写真=レクサス
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