アルファ・ロメオ・ジュリア2.2ターボ・ディーゼル・スーパーとは、どんなクルマ?
アルファ・ロメオのコンパクト・セダン、ジュリアのラインナップに2019年5月に加わったディーゼル・モデル。SUVのステルヴィオにも搭載される2.2リッター直4ターボ・ディーゼルは最高出力190ps/3500rpm、最大トルク450Nm/1750rpmを発生、8段ATを介し後輪を駆動する。内装はクリーンな印象。アナログ2連メーターが昔からのアルフィスタを刺激する。全長×全幅×全高=4645×1865×1435㎜。ホイールベース=2820㎜。車両重量=1600㎏。WLTCモード燃費は17.2km/リッター。車両本体価格=567万円。
金子浩久の意見! 肩肘張らずに使える
ジュリア・ディーゼルのスゴいところは、セダンとしての完成度が高く、その使い勝手の良さを気負わずに実現しているところだ。たとえアルファ・ロメオの熱心なファンではない人が乗ったとしても、最新のディーゼル・エンジンとドライバー・インターフェイスを採用したセダンとして、リアル・ライフで十分以上の活躍をしてくれることだろう。そう思わせられる実力の高さを体感できた。輝かしい歴史を持ち、美しく個性的なデザインを纏ってきたアルファ・ロメオ各車は自動車界の宝である。
尊いものとして崇め奉られてきたことにまったく異論はないのだけれども、ジュリア・ディーゼルはそんな前提を意に介さない“軽快感”、“軽み”を体現している。そう思わされるのは、2.2リッターディーゼル・エンジンによる加速感覚だ。ディーゼルらしい音や振動は感じるのだが、呆気ないほど軽々とジュリアをスピードに乗せていく。乗り心地も快適で、ファンやマニアでなかったとしても肩肘張らずにデイリー・ユースできるアルファ・ロメオだ。
藤野太一の意見! ヒラリ、ヒラリ!
日本ではアルファ・ロメオとディーゼルの組み合わせに馴染みがないように思えるけれど、156に乗用車として世界で初めてコモンレール式ディーゼルを採用したアルファにとってジュリアにクリーン・ディーゼル・エンジンを搭載することは必然の流れだった。2リッターを少しばかり超えた2142cc直列4気筒ターボ・ディーゼル・エンジンは、最高出力190ps、最大トルク450Nmを発揮。競合の2リッター・クラスのディーゼル・エンジンの最大トルクが軒並み400Nmであることを鑑みれば、そのわずかな排気量差を力強いトルクへとうまく変換している。
西川 淳の意見! 何ともイタリア車らしい
ジュリアを見ると今でもローンチ試乗会のバロッコを思い出す。親子二代にわたる旧知のテスト・ドライバーがとても忙しそうにしつつ心からの笑顔をみせていた。アルファ・ロメオのFRサルーンの復活がそれほど嬉しかったのだ。だから今でもジュリアに乗ると彼の笑顔が眼に浮かび、動かすとそれが自然と自分に乗り移ってくる。ステアリングをひとたび回した途端、にやけてしまう。
人によってはこの超クイックなステアリング・レシオが気に入らないかも知れない。セダンなのだからもう少しおしとやかにしてくれ、という声も聞こえてきそうだ。そう思う人はそれでいいじゃないか。イタリアのオッサンはオシャレし過ぎているから嫌いだ、というのと同じだ。ファンなハンドリングは実はクラシックで柔らかい。日の光を受けてヌメリと輝くフォルムで覆っていることもジュリアの凄さ。ただ単に格好いいから、という理由だけでは愛の続けようがないというあたり、何ともイタリア車らしい。今回はディーゼル・ターボに乗ったけど、エンジンはお好みで。
藤島知子の意見! 運転に没頭しちゃう!
ジュリアはアルファ・ロメオとしては、久々の後輪駆動車として送りだされたセダン。ボディはアルファらしく彫刻的な造形と空力性能を両立し、縦置きエンジン、カーボン製のプロペラ・シャフトの採用、ステアリングはクイックなギア比になっていたりと、スポーツ性を際立たせている点にも注目したい。今回試乗したジュリア 2.2 ターボ・ディーゼル ・スーパーは、4気筒 2.2リッターのディーゼル・ターボ・エンジン×8段ATのユニットを搭載したもの。
ドイツ勢のディーゼルと比較すると音や振動の面で荒削りに感じる部分はあるものの、力強く漲るトルク感はわずかな踏み込みで車体を軽々と前に押し出しながら走っていく。追い越し時など、1500rpmを超えるあたりからの中間加速では、伸びよくパワーを発揮していくし、クイックなステアリングとトルクの出方が絶妙にマッチして、後輪駆動ならではの素直なハンドリングとアクセル・ワークで思いのままに姿勢を変えていける。伸び伸びとした走行ラインが描ける走りに、気づけば没頭させられてしまうだろう。
岡崎五朗の意見! 噛むほどに美味しくなる
出会った瞬間“ゲッ”と思ったのに1年後には購入していた。そんな155との出逢い以来、アルファにはアクの強さが必要だと常々思っていた。そういう意味でジュリアは口当たりがよすぎる。バランスのとれたプロポーションや美しいディテールは評価しつつも、一人のアルファ・ファンとしては親しみやすすぎる部分に物足りなさを感じていた。
ところが、驚いたことにそんなジュリアをだんだん好きになってきている自分がいる。ドイツ車とは明らかに違うエモーショナルな佇まい、色香を漂わすインテリア、ドライバーを楽しませることを最上位に置いた走りの味付け……いまでは「このクラスのセダンを買うならジュリアだよね」と思っているほど。最初は不味いと思わせてだんだん美味しく感じさせるのもすご技だが、ひと口めから美味しいのに噛めば噛むほど美味しくなっていくというのはさらにその上をいくすご技である。今回乗ったディーゼルは盛大な音を聞かせる反面、パワー・フィールはとにかく元気。アルファ好きでも納得の心臓だ。
(ENGINE2020年4月号)
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