ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
ここ20年間でクルマは大きく変わった。平成12年度の排ガス規制によって日本車は一気に草食化。ハイパワー車絶滅の危機かと思いきや、今ではセダンやSUVに至るまで500psオーバーのオンパレード。アクセルを踏み込むだけで4秒掛からずに100キロに到達するクルマが沢山ある。そして自動運転化、電気自動車化……もう良く分からないので、昔ながらの感覚で楽しめるクルマを選んだ。
1位に選んだのは後期型GT3。トップモデルのRSではない後期型になって復活した3ペダルの6MTモデル。4Lで500psを発揮する自然吸気エンジンは至極。シャシー性能の高さと相まってまさにドライバーの意のままに走る。
カタログ・スペックが命? になりつつあると感じるこの時代に、これ程まで軽やかに、心地良く走るスポーツカーが登場するとは思わなかった。しかも、どうにか手が届きそうな800万円。通勤に使っても毎日ドライブ気分を味わえる。
ターボ化によって排気音が大人しくなっても、100%電気で走るようになっても、フェラーリの世界観は揺るぎそうにない。が、458はNA、V8ミドシップ、ピニンファリーナ・デザインの中で究極の出来であることは間違いない。
乾燥1300kgを切るカーボン・モノコックの車体に720psのV8ツインターボ・エンジンを搭載した2WDなのに、まるっきりじゃじゃ馬じゃない魔法のクルマ。
AMGの一番高級なスポーツカーだと思ったら裏切られます。GT4で活躍するレースカーと何も変わらない本気で速さを追求したレーシング・モデル。
まったくロールもせず、ゴーカートのように走るというイメージは大間違い。しなやかに爽快に走ります。お奨めは1.8L+SCで適度なパワーの220。
パワーを捨てて基本に立ち返る道を選んだND型。初代が持つロードスターの味を濃く保ちながら、価格も抑え現代の安全性を持たせた貴重な1台。
ちょっと辛みが足りないという声もあるが、走りを楽しむエントリー・スポーツとしてはいい塩梅。後期型の完成度は高く、ノーマルで充分楽しめる。
981型ボクスターはスパイダーこそが究極! 高回転型の3.8Lフラット6は回さないとちっとも速くない。ちょっとレトロな雰囲気が魅力。
今でもマイカーとして迎えたい1台。グレードは7MTで走らせる素のカレラ。後期型に較べれば遅いが、その分アクセルを踏める楽しさがある。
BMWが本気で運動性能を追求したと感じる数少ないモデル。ショートストロークの4L、V8自然吸気エンジンは絶品! それだけで価値がある。
初代の4.2L、V8エンジンを搭載したモデルはとてもバランスの良いスポーツカーだった。ハンドリングを楽しみたい人にはV8がお奨めです!
季節を感じ、天気を感じ、路面を感じ、エンジンを感じて走りを楽しむスポーツカーの原点。火を消してしまったら二度と蘇ることはない。
スペックに凄さはないが、走れば走るほど楽しさが滲み出てくるFFスポーツ。このクラスでヨーロッパ勢と勝負が出来るクルマは他にない。
その先の進化を見たかったスーパー4WDセダン。2ペダルのSSTを含め、攻めに攻めたクルマ。
登場から10年以上経った今でも第一級のポテンシャルを保っているスーパースポーツ日本代表。
革命は起こさず地道に進化を続け、最後まで庶民でも手に入れることが出来たスーパー4WD。
ハイパワーFFスポーツのお手本的存在。ルノースポールのチューニングが光る楽しいクルマ。
きめ細やかな「おもてなし」を感じる完成度。XC90に限らず、今のVOLVOはコスパNo.1!
これぞ高級車という走り味を持ちながら、驚くほど速く走ることも可能なとってもオトナなGTカー。
文=大井貴之(モータージャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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