ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
20年はホント長いです。なにしろ過去5年で自動車界はがらりと変化。私のリストでは1位から10位はEVを中心にコンセプトの先進性や個性を重視。いっぽう11位からはクルマのキホンである“乗っての楽しさ”。自分としてはトップ10が2本あるかんじのリストアップです。最近、90年代以前のクルマに乗ると、車体が軽くて楽しいのにびっくり。進化ってむずかしいとしみじみと思うのです。
スタイルもコンセプトも画期的。デビューは2013年。先進性に富んでいて、いまだに衝撃をおぼえています。次世代モデルでは凝った炭素樹脂製のシャシーは採用されないとか。歴史に残る(はずの)クルマを新車で買えるのは、いま。
EペイスのほうがEVっぽい名前ですが、BEVはこちらのIペイス。電気化しても自動車には楽しさがあることを教えてくれる1台です。スポーツカーの楽しさとはなにかを熟知しているメーカーだから、これ、作れたのでしょう。
このクルマの製造中止を決めたひとは大きな過ちをおかした、とまで言いたい、秀逸なコンセプト。3人乗りにして路上の占有面積をうんと切り詰めたパッケージはよかったのに、パワートレインがダメでした。ぜひEV化して再発を。
e-GOLFからRまで、車種豊富。なかでも評価したいのは、ICE用シャシーをうまく使い、EVとしても出来のいい、GTEとe-GOLF。
欧州の路上では狭いスペースに縦に駐車しています。つまり、シティカー・コンセプトは正解でした。いまはBEV化され、次の時代に適合。
EVのSUVという現在“旬”なコンセプトを2012年に展開した、その先進性が評価に値します。三菱はクルマ好きを喜ばせて欲しいです。
車種展開がすばらしく魅力的。個人的には「クーペ」が大好物。2010年に出たミニEは、いまのミニELECTRICにつながる好企画でした。
自分でも乗っているぐらいで、高評価の1台。スタイルと共に操縦性も高く、今後の「リチャージ」やハイブリッド「B」シリーズのよき土台。
これはスタイルで評価。現行モデルも洒落ているものの、初代は最高。個人的な好みは2ドア・クーペとコンバーチブル。街で観ると振り返るほど。
初代は奮闘賞。これがなければ、現行型もなかったわけです。インバーターもチューンされた現行リーフ・ニスモに食指が動いています。
独創的でなくてはならない、というレースカーのスピリットが健在。スタイリッシュ、クリスピー、かつコンフォタブルと、みごとな出来。
傑作フェラーリ車。現行F8シリーズやSF90ストラダーレのオリジンともいえる、フルモノコック構造の車体の俊敏なハンドリングは古びない。
さほどパワフルなエンジンでなくても、すぐれたハンドリングと洒落たスタイリングで、卓越したスポーツカーになる証明。オトナっぽい。
発表当時から現代にいたるまで、自然吸気エンジンのパワフル感は、頭が真っ白になるほど。ようするに、スポーツカーの原点が健在。
SUBARU(とホンダと三菱)は90年代から10年代を日本車の時代に。最終モデルを買うべし。
エレガントで繊細、でもサーキットでも楽しめる。もう少しサイズが小さければ満点あげたい。
後輪駆動スポーツ・クーペのアルファにしてオメガ。経験ゆたかな技術者が仕上げた珠玉の1台。
操縦性、乗り心地、排気音、そしてスタイルとすべてが心揺さぶる。セダンのジュリアも最高。
現代最高水準の操縦性に酔いつつ、2002tiiのレガシイに思いを馳せられる通好みの1台。
熱い、でも冷めている、いい意味で。スポーツカーというより、頼りがいのあるパートナー。
文=小川フミオ(自動車ジャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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