2021.10.24

CARS

【第12位】フェラーリのフラッグシップ最後の雄叫びか!? 12気筒搭載の812の順位は?【エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス2021】

雑誌『エンジン』の名物企画、「エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス」の2021年版で13位となったのはフェラーリの旗艦、812だ。票を集めたのはV8ミドシップではなく、12気筒を搭載するFR。自然吸気V12の咆哮を、ホット100選考委員の多くのジャーナリストが絶賛した。はたしてこれがフェラーリのフラッグシップ最後の雄叫びなのか!? その魅力を選考委員のコメントとともに紹介する。

【エンジン・ホット100ニューカーズ!】上位20位に選ばれたクルマはこちら

フェラーリの保守本流!

70年代のスーパーカーブームに加えて長年にわたるF1での活躍もあって、世間的にはフェラーリといえばミドシップというイメージが根強いのではないかと窺える。

それはそれでまったく異論の余地はない。でも、フェラーリには別の大事なアピアランスもある。それがまず12気筒であり、それと親和性が高いキーワードがFRだ。60年代までのフェラーリのスポーツカーの歴史の大半はこのキーワードで括られ、90年代後半以降の12気筒フェラーリはスペチアーレを除き、FRレイアウトに立ち返っている。



「純なV12NAを完全フロント・ミドで楽しむ。おそらくこれが最後」(西川淳さん)

「大排気量の12気筒を古典的な成り立ちで楽しませてくれる、フェラーリの醍醐味がある」(小川フミオさん)

「2座、V12、FRこそ、フェラーリの保守本流だ」(荒井寿彦さん)

と、この点を評価する選者も多い。

鼻先に大きなエンジンを押し込んだ流麗なスポーツカーを操る、いつの時代も男子のバンカラな憧れだ。そこに収まるエンジンの芸風はクルマの個性を大きく左右する。812シリーズに搭載されるのはエンツォに端を発するF140系。アクセル操作ひとつで素晴らしく滑らかにも恐ろしく獰猛にも振る舞い、更にそのサウンドはドライバーを恍惚へと誘う。エンジン・メーカーとしてのフェラーリの究極を示した逸品だ。

フェラーリ812(GTS含む)ホイールベース=2720mm。車両重量=1790kg。バンク角65度の自然吸気6.5リッターV12は最高出力800ps/8500rpm、最大トルク718Nm/7000rpmを発生、7段自動MTを介し、後輪を駆動する。車両価格=4000万円

「逆立ちしても手が届かない車は選ばないと考えたが、最高峰の自然吸気V12をスルーするわけには……これぞフェラーリ」(高平高輝さん)

「エモーショナルという言葉がずいぶん安っぽく使われるようになりましたが、これほど心に響くエンジンを私はほかに知らない」(大谷達也さん)

「V12自然吸気サウンドを高らかに響かせるオープンボディのGTS。まさに究極の跳ね馬」(島下泰久さん)

と、大半の選者はそのエンジンに惹きつけられているように窺える。

純然たる内燃機12気筒を搭載する最後のフェラーリではとの噂もある812シリーズ。

「どのモデルでも熱い血が通ういつか持ちたい車。中でも812は私のベスト・フェラーリ」(清水和夫さん)

「自然吸気のV型12気筒は『明日』無くなってもおかしくない存在だけに、これは時間と貯金との勝負。まあ勝負の結果は完全に見えているわけですが」(山崎元裕さん)

その気持ち、よくわかります……。

文=渡辺敏史 写真=望月浩彦

(ENGINE2021年9・10月号)

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