2023.02.11

LIFESTYLE

元フェラーリのデザイナー、奥山清行氏が手掛けたオルゴール!! 精巧な12気筒エンジンのような美しい音色に思わずうっとり!

初期状態では150曲のクラシック音楽を内蔵する「オルフェウス KANATA」

全ての画像を見る
最先端の技術を取り入れた、デザイン的にも美しいオルゴール。143万円もする逸品は、エンツォ・フェラーリを手掛けた日本人デザイナー、奥山清行氏の手により生み出された。

すぐにはオルゴールと気づかない?


両サイドをアルミの円盤で封じた透明な筒が、上品な木箱の上に鎮座している。中には金属の美しいメカニズムがLEDに照らされ、その脇にはデジタル・パネルが光る。



この不思議な工芸品を見て、それがオルゴールであるとすぐに気づく人は少ないかもしれない。しかしスイッチを入れれば、金属が櫛歯を弾き、澄んだメロディの数々が生み出される。これは生の音を発する「楽器」なのだ。


櫛歯を弾くピンをコンピューターで操り、内蔵曲数を無限に広げられる電子制御式オルゴールは10年近く前に商品化されていた。昔ながらの木箱にムーブメントを内蔵してデジタル・パネルを装着したもので、美意識に富んだデザインとは言い難かった。

デジタルとアナログが融合し、新しい時代に入ったオルゴールのポテンシャルを最大限に引き出し、ハンドメイドの工芸品であることを姿かたちでも主張したい。オルゴールを手掛けて60年以上という日本電産サンキョーと、ケン・オクヤマこと奥山清行氏がタッグを組んで開発を開始した。



長野県諏訪市で職人が手作り

オルゴールの肝であるムーブメントを美しく見せること。清らかな音を響き渡らせるのに必要な優れた剛性の確保。雑音をどのように省くか。さまざまな素案から選ばれたのは、厚さ10mmの真鍮板にムーブメントを固定し、魂柱と呼ばれる柱を通じて木製の共鳴台に伝え、反響させる方式だ。金属の特性に造詣の深い奥山氏と、彼が率いる建築エンジニアのチームが、トラス形状を持つ軽量高剛性のプラットフォームを開発。共鳴台は奥山氏の地元・山形の天童木工に依頼した。曲を奏でる櫛歯は一点ずつ長野県諏訪市の職人が手作りする。


150曲を内蔵でき、SDカードを通じて曲の更新も可能。オルゴールならではの繊細さを備えながらも力強い音量を発する。こんな素敵な楽器を中心に据え、カフェやガレージハウスを設計したら豊かな毎日を過ごせるのではないか。LEDに照らされた金属の輝きを見つめていたら、夢の世界にトリップしてしまった。



文=田中誠司

(ENGINE2023年2・3月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement