2023.07.15

LIFESTYLE

木材価格の高騰に職人の賃金上昇 設計を見直してコスト削減してもまだ足りない! かつてない難題を若い建築家と施主はどう乗り越えたのか!?

このエンジ色の天井の中に階段も……

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、東京西部の住宅街に建つ、幾何学的な外観の一軒家。家の中に入ると、真っ先に目に飛び込んできたのは鮮やかなエンジ色の勾配天井。実はこの天井にはデザイン以上の意味があった。デザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

幾何学的な美しい外観


茶畑が点在する東京西部の静かな住宅街。そこに建つ臨床検査技師の山下陽一さん(43歳)一家のお宅は、かなり尖ったデザインをしている。最大の特徴は、四角いシンプルな形をした2階建ての家の、1階と2階の間にエンジ色の「塊」があること。この塊部分、1階ではエンジの勾配天井として顔を覗かせ、2階では床になっている。1階と2階を階段で行き来する際は、このエンジ色の塊を通り抜けることに。壁と同じ白ではなく、色があることで不思議な存在感が生まれているのが面白い。



加えて山下邸の特徴は、建物の構成が美しいこと。幾何学的でどこか模型のようだ。しかも普通の家と大きくプロポーションが異なっている。例えば4枚等間隔に並んだ窓は、中央の大きなものも下の横長のものも、どちらも1階のもの。2階の窓があるのは、建物の反対側だ。屋内に入ると、この窓の効果が分かる。大きな窓は天井と接する高い位置にあるので、近隣の建物は視界に入らず空が見える。一方、床レベルの窓からは、周囲の植物の姿が。リビング・ダイニングにいて床面積以上の広がりが感じられるのは、上下の窓のお陰だ。ちなみにこの部屋は、エアコン、換気扇だけでなく、階段すら見えないように隠されている。アトリエ系の建築家の手による、美意識を感じる家だ。




アトリエ事務所を応援


この山下邸を設計したのは、畠山鉄生さんと吉野太基さんが主宰する建築事務所のアーキペラゴアーキテクツスタジオ。今でこそメディアに取り上げられる機会も増えたが、建築業界ではまだまだ注目の若手といった存在である。それでも依頼があったのは、建て主の山下さんの奥さんが吉野さんの従姉弟であったから。これまで実に多くの建築家が、親や親戚の応援で世に出てきた。

「直接は言いませんでしたが、彼が建築学科に入った時からお願いすると決めていました」

と奥様。山下さんも「一人前になったらお願いしたい」と伝えていた。

そして、山下さんが関西から東京に転勤になり、家作りのタイミングが訪れる。夫婦が望んだのは、高い天井のあるリビング・ダイニングの一角で、子供たちが勉強ができること。来客の対応もできるロフトがあること。またアトリエ系建築事務所ならではの魅力を備えた家であることも付け加えられた。



多くのやり取りの後に完成した家は、実にユニーク。希望のロフトの機能は、なんとエンジ色の塊の中に収められた。1階の勾配天井の裏を利用した階段状のロフトは、大きな収納ボックスが並んだ空間。水色の壁と天井が閉塞感を和らげている。また、エアコンなどの機器類も塊の中に収めることで、1階の美しい居室空間が完成。エンジ色の塊は人を驚かせる仕掛けではなく、明確な存在理由があったのだ。


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