2024.01.16

CARS

VW Tロックに加わった“ブラックスタイル”に試乗! これはVWのラインナップの中でも、とりわけ素の走りの良さを持つ傑作?! 

VW Tロック TDI Rライン ブラックスタイル

全ての画像を見る
2021年7月にマイチェンが施されたVWの人気クロスオーバー、Tロックに特別仕様車の“ブラックスタイル”が加わった。黒の専用内外装でドレスアップしたそれに、試乗する機会を得た。エンジン編集長のムラカミがリポートする。

ホレボレする

最近、あまりフォルクスワーゲンに乗る機会がなかったけれど、“あらま、いつの間にか、こんなクールなナイス・ガイになっていたのね”と、試乗車のTロックTDI Rライン・ブラックスタイルをひと目見て、目を見張った。



そもそもがインジウム・グレー・メタリックとブラックのシックなツートーン・カラーのボディに、さらにフロント・グリル下部やルーフレール、ドアミラー、サイドリアのクロームトリムなどのパーツをブラックアウトしてドレスアップし、仕上げに足元も標準装備とは異なるデザインのブラックペイントされた18インチ・ホイールで引き締めてある。

その結果、パッと目に入る横方向のラインを強調した顔つきを含めた佇まいがいつもより凛々しく見えて、そのナイス・ガイぶりにしばしホレボレと見とれてしまった次第である。

ダッシュパッド、インフォテイメント・システムのディスプレイ、エアコン・ベゼル、センターコンソールなどが黒で統一され、シックに仕立てられた室内。


乗り込んでみると、インテリアも、ダッシュパッドやエアコン・ベゼル、インフォテイメント・ディスプレイ、センターコンソールがブラックアウトされた結果、とても落ち着いたブラックとグレーのツートーンの空間になっていた。

とりわけ気に入ったのはシートで、写真でもご覧のように、幾何学模様のようなステッチが施されたすこぶるオシャレなデザインのスポーツ・シートが奢られている。

これはどうやらブラックスタイルとは関係なく、R ライン専用のファブリック&マイクロフリース・シートだったようだが、質実剛健一本槍ではない、さりげなくオシャレなフォルクスワーゲンというのも、なかなかいい味を出していると改めて思ったのである。

R ライン専用シートはデザインも座り心地もホールド感も素晴しい。


国民車メーカーの偉大さ


しかし、このクルマで一番感心したのは、そのスタイル以上に走りである。

エンジンは、最高出力=150ps/3500-4000rpm、最大トルク=340Nm/1750-3000rpmの2リッター直4ディーゼル・ターボをフロントに横置きし、7段自動マニュアルのDSGを介してフロントを駆動。足回りはフロントがマクファーソン式ストラットでリアがトレーリングアームという、いってみれば、大黒柱のゴルフとも共通するパワートレイン&シャシーを持つVWのスタンダードなディーゼル・モデルということになるわけだが、これが実に素朴ないい乗り味を出していたのである。

とにかく、なにも突出したものはない。ビックリするほど速いわけでもないし、驚くほどトルクが太いわけでもない。スポーティなハンドリングを持っているわけでもないし、乗り心地が高級サルーンのようにいいわけでもない。けれど、すべてが気持ち良くフツーに走るのにドンピシャなものになっているのだ。



すなわち、箱根の長尾峠のような急な上り坂を走っていても、まったく不足がないトルクがあるし、コーナーに合わせてステアリングを切り込んでいけば、スーッと自然に向きを変えていってくれるハンドリングがある。足も硬すぎず柔らかすぎず。ディーゼルの勇ましい音が聞えるのも好ましい。


で、山道を上りながら私はこう考えた。これは目下のVWのラインナップの中でも、とりわけ素の走りの良さを持つ傑作なのではないか、と。そして、こういうモデルを持つことこそが、この国民車メーカーの偉大さなのではないか、と。姿良し、走り良しのこれがもう少し安ければ、申し分なしなのだが。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=望月浩彦

(ENGINE2024年2・3月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement