2024.05.17

CARS

中古車の値段が上がるのはイヤなので内緒にしたい! 4リッター自然吸気並みの大トルクを発揮する3リッター直6ターボをぶち込んだ135iクーペは、どんなBMWだったのか?

BMW135iクーペ M-Sport

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中古車バイヤーズガイドとしても役にたつ『エンジン』蔵出し記事シリーズ。今回は2008年6月号に掲載された135iクーペのリポートを取り上げる。306psの3リッター直噴ストレート6ターボ・ユニットを搭載したリトル・ボム。その実力を計るべく、アクティブ・ステアリングのあるなし、紅白2台の135iクーペで、春の八ヶ岳までのドライブを敢行。内心、ちょいとした疑問を携えつつ。


おめでたい紅白の組み合わせ

ちっちゃいクルマが時代の気分であることは間違いない。なにしろ日本で一番売れている自動車は、軽を除くとホンダ・フィットである。こんな世の中だからこそ元気の出るクルマがほしい、と私も思う。でも、だからといって306psものパワーを誇る135iクーペが時代の気分なのか?

日本に導入される1シリーズ・クーペはこの135iのみ。本国同様、Mスポーツ・パッケージが標準。白いテスト車はオプションのアクティブ・ステアリング付き、赤いほうはナシ。それ以外は同じ。4370mmという全長は、現行3のクーペより220mm短く、80年代前半の2代目3シリーズの4325mmに近い。あのころの3は確かにコンパクトだった。

編集会議で議論した末に決まったことではあるけれど、私はそのような疑問を抱きつつ、135iクーペMスポーツのステアリングを握ったのだった。本年2月に発売された135iクーペは、ATモデルが上陸する6月頃までマニュアルのみ。2ドア、4座、マニュアルということだけで、すでにスペシャル感がある。いまや絶滅危惧種のマニュアル派にとっては495万円の130iと並ぶ希望の星? お値段は538万円。スポーティなパーソナル・カーとしてはポルシェ・ボクスターやケイマン2・7、アウディTTクーペ3.2クワトロあたりがライバルとなる。価格は50万円ほどお求めやすく、動力性能は余裕で上回り、実用的な後席も荷室も備わる。実用になるから、スポーツカーを購入するより心理的なバリアはグッと低い。だからといって135iクーペが魅力的なのか。気候変動の時代、化石燃料も残り少ないといわれる現在、内燃機関を楽しむのなら本物のスポーツカーに、それも、もうちょっと馬力の低いヤツにしたほうが、結局は環境にも財布にもいいはずだ。



ま、内心そうは思っていても、私も社会人ですので、口には出さないのです。黙って、135iクーペMスポーツをアクティブ・ステアリングのあるなしで2台借りた。それが写真の白いクルマと赤いクルマだ。白はソリッドで“アルピン・ホワイトIII”、エンジっぽい赤は、メタリックの“セドナ・レッド”と呼ばれる。速度に応じてステアリングのギア比が変わるアクティブ・ステアリングはロック・トゥ・ロック2回転で、極低速ではステアリングをちょっと切っただけで前輪がグイグイ曲がる。車庫入れはスイスイである。19万3000円のオプションである。


このアクティブ・ステアリングの有無の違いについては後述するとして、バイエルン・エンジン製造会社の製品であるからして、まずはそのエンジンから語らねばならない。



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