2024.04.14

CARS

世界限定500台(日本はわずか67台)のアルファ・ロメオ8Cコンペティツィオーネはどんなスポーツカーだったのか? 2度とこんなクルマは生まれない!

当時の車両価格は2259万円、アルファ・ロメオ8Cコンペティオーネ。

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中古車バイヤーズガイドとしても役にたつ『エンジン』蔵出しシリーズのアルファ・ロメオ篇。今回は2006年秋のパリ・サロンで発表された世界限定500台のスペシャル・モデル、60年代の華麗なるムードたっぷりのイタリアンGT、アルファ8Cコンペティツィオーネに初試乗したENGINE2009年10月号のリポートを取り上げる。

エンジンがかからない!

赤い宝石に乗り込むと、そこは華麗なる男の浪漫の世界だった。キーをひねってセンター・コンソールの丸くて赤いエンジン・スタート・ボタンを押す。450psのフェラーリ製4.7リッターV8を目覚めさせるべく、スターター・モーターがキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルッと回る。現代のクルマだったら、即座にかかるのが常識だ。いつもよりよけいに回っている。なのに、かからない! 一瞬あせる。赤いボタンをさらに押す。押し続ける。大丈夫かぁ。と不安になりかかったころ、突然バフォンッ!! と文字通り爆裂音が炸裂。フロント・ミドに搭載される90度V8は目覚めるや、さらにグオンッ! とひと声吠え、そののちグッド・ヴァイブレーションを伴いながらアイドルを開始する。

8Cの技術的な注目点は、スチロール製のフロアをカーボンファイバー製パネルで上と下からモナカよろしく挟み込んだ特殊なボディ構造にある。これにより、軽くて強度が高く、理想的な前後重量配分、重心を得ているのだ。バンパーやフェンダー等は樹脂製となる。全長×全幅×全高=4376×1892×1340mm。ホイールベース2646mm。車重1575kg(カタログ値)。最高速290km/h。0-100km/h4.2秒以下。


まるでキャブレターの高性能エンジンを目覚めさせた気分。キーONでジー、カチャカチャカチャという電磁ポンプの音が後ろから小さく聴こえてくる。アクセル・ペダルを2、3回奥まで踏んで、おもむろにキーをグイッと回す。セル・モーターがクククククッと回って、ブオンッと来たところでもってアクセルをタイミングよく踏み込む。そういう儀式が60年代の高性能GTではドライバーに求められた。「あ、うん」の呼吸。それを習得してはじめて機械が応えた。その旧き良き時代の人間と機械のやりとりをアルファ8Cコンペティツィオーネは自動演奏機みたいに演じてくれる。

GTカーの演出にこんな手があったとは! なんたるエンスー! アルファ・ロメオは死なず! とエンジンをかけただけで、このクルマが好きになった。往年のTZや33ストラダーレ、あるいはカングーロをちょっと思わせる、レトロな衣装をまとった8Cは、単なるマゼラーティの着せ替え版では断じてなかった。私は誤解していた。2年前の東京モーターショー会場で見たときも、妙に大きく見えて、ちっともいいと思わなかった。違っていた。浪漫なんだよぉ。男の浪漫。60年代GT浪漫の21世紀的自動演奏マッキナだったのだ、アルファ8Cコンペティツィオーネは!

アルファの伝統に則ったインテリアは男の浪漫。ダッシュボードはカーボンファイバー製、シルバーに輝くセンターコンソールのパネルはアルミ削り出し。薄いレーシーなシートは長時間ドライブでも腰が痛くならない。



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