2020.07.31

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ヴァシュロン・コンスタンタン/歴史の息づくスタイルとともに甦らせた時代を揺さぶる躍動感

いま着けたいのは、“物語” のある時計--。その興味深いストーリーを知るほどに魅力は深まるばかり。ここに現代の名品たちを主役にした珠玉の短編集を編んでみた。


フィフティーシックス・コンプリートカレンダー/2018年の誕生以降、多彩な機能とカラーのバリエーションを揃え、新世代のブランド像を打ち立てた。ふたつの小窓表示で月と曜日、外周のポインターデイト、ムーンフ ェイズを備えたフルカレンダーだ。歴史的なモデルを検証し、新たな解釈を加えたデザインに、サファイアクリスタルのボックス型風防を採用し、品質も向上した。自動巻き。ピンクゴールド、ケース直径40mm、カーフスキンストラップ。ブティック限定。税別356万円。


VACHERON CONSTANTIN

ヴァシュロン・コンスタンタンは、世界最古のマニュファクチュールという賛辞で語られることが多い。しかし真に讃えられるのはその長さよりも質だろう。むしろ歴史に甘んじることなく、時代に対していかに向き合い、挑んできたか。フィフティーシックスはその証となる一本だ。インスピレーションを得たのは、1956年に発表されたリファレンス6073。シンボルマークであるマルタ十字の4肢をアレンジしたラグに、ブランド初の自動巻きムーブメントを搭載し、さらに防水性を備えた。こうした当時の革新性もさることながら、フィフティーシックスが受け継いだのは、コレクション名でもある1950年代の時代感に他ならない。

リファレンス6073は自動巻きムーブメントを搭載し、それまでの手巻き式に対し、ゼンマイを巻くことなく高い精度や信頼性を誇った。それは新世代の息吹だったのだ。
モチーフになったマルタ十字は、もともと機械式ムーブメントの精度を司る部品の形に由来する。その象徴性をデザインへと昇華した。

世界大戦が終わりを告げ、希望と渾沌が入り交じる中、旧世代に代わるべく若者たちの文化が爆発した。ビートだ。ジャズクラブはそんな若者たちが集う魂の発露の場となり、モダンジャズの陶酔をケルアックはロールペーパーに延々とタイプし、「路上」を書き上げた。そんな時代の躍動感がフィフティーシックスからは伝わってくるのだ。ゴールドのケースとセピアブラウンのダイアルはトーン・オン・トーンを彩り、同色のストラップはスポーティなホワイトステッチを配す。まさに伝統と革新が息づく現代のビートだ。


問い合わせ=ヴァシュロン・コンスタンタン
Tel.0120-63-1755
https://www.vacheron-constantin.com/jp

文=柴田 充 写真=近藤正一


(ENGINE2020年9・10月合併号)

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