2021.06.12

LIFESTYLE

東京ドーム24個分の敷地にオープン 高速道路直結の巨大商業リゾート誕生!

三重県中南部に位置する多気町に、巨大な商業施設が出現した。高速道路から施設に直結するスマートICを設けたその狙いとは?

牛肉で有名な松阪市に隣接し、伊勢志摩や熊野古道といった観光地にもほど近い三重県多気町。この山々に囲まれた人口約1万4000人の町に、東京ドーム24個分の敷地を有する巨大商業リゾート施設が誕生した。4月29日に第一期エリアがオープンした「VISON」である。

7月20日のグランドオープンまでに出店するのは68店舗。三重県の食材を使用したレストランやショップ、産地直送のマルシェ、3つの宿泊施設、薬草湯が楽しめる温浴施設、さらにはオーガニック農園に木育施設と、その内容は実に多彩だ。事業を手掛けているのは民間企業4社で構成される「多気ヴィソン株式会社」。総事業費は約180億円で、年間800万人の来場者を見込んでいる。

VISONがユニークなのは、企業と行政、地元大学が連携して地域の活性化を図りながら、SDGsへの様々な取り組みを行っていくことだ。たとえば敷地内の建物には木材を多用。式年遷宮のごとく20年に一度建て替えを行い、地域の林業を支えていく。またフードロス・ゼロを目指し、マルシェで売れ残った食材は「VISON」内のレストランで徹底的に再利用。若者のUターン就職や移住増加を促進するため、魅力ある雇用も積極的に創出していくという。

ETC搭載車が24時間通れるスマートIC。伊勢志摩方面から来る観光客の取り込みを狙う。


伊勢神宮の参拝客を取り込む

一方、今回のプロジェクトで注目されているのが、全国初認可となる民間施設直結のスマートインターチェンジの設置である。施設からクルマで約30分の伊勢神宮の参拝客は年間800万人に上るが、その約7割がクルマかバス利用者であるにもかかわらず、ほとんどが多気町を素通りする日帰り客だという。その対策として、伊勢自動車道の上り線(名古屋方面)に、ETC搭載車が24時間利用できる「多気ヴィソンSIC」を設置。一般道から施設に入る従来のルートに比べてたった4分の短縮ながら、その効果は大きい。

さらに7月1日からは名古屋、松阪、伊勢、南紀方面から施設にアクセスする路線バスの開通も決まっている。VISONを単なる商業施設ではなく、地域観光のモビリティのハブに育てあげる。そんな壮大な構想が、このプロジェクトにはあるようだ。

4月29日に第一期エリアがオープンしたVISON。写真にある木材を多用した開放感のある建物は、産直市場の「マルシェ ヴィソン」。ミシュランガイドパリの一つ星シェフ、手島竜司氏が監修し、地域の生産者が出店できる軽トラマルシェのほか、松阪牛や伊勢海老などを扱うショップやレストランなどが入る。またこの日には、東海地方初出店となる猿田彦珈琲もオープン。7月20日のグランドオープン時には、自然の眺望を楽しめるメインホテル、露天風呂付きのプライベートヴィラ、カジュアルに宿泊できる旅籠の3タイプに分かれた「ヴィソン ホテルズ」も開業する。

新鮮な果物が並ぶ「マルシェ・ヴィソン」。※感染症対策のため、三重県まん延防止等重点措置に準じて、期間中は周辺地域の方を中心にオープン。

第一期エリアには人気パティシエ、辻口博啓氏によるパティスリーとベーカリーのショップ、「スウィーツ ヴィレッジ」もオープンした。

(ENGINE2021年7月号)

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文=永野正雄(ENGINE編集部)

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