2021.08.01

LIFESTYLE

蒸気と冷気、五感で味わうケミストリー 神田の新スポット「サウナラボ」を体験する!

サウナ発祥の地、そしてサウナ大国のフィンランド。本場の様式を取り入れつつ、新しいアプローチを試みた話題の店舗でとっておきのチルアウトを体験!

最古のサウナは石器時代に遡る。組んだ木と獣の皮のテントで、熱い石に水をかけて浴したらしい。古代フィン人が狩りで疲れた体を蒸気で労わっていたことを想像すると、サウナの効力は人類のDNAに刷り込まれているようだ。

祖父の代からサウナを経営していたというウェルビー社長の米田行孝さんは、まさにこの地で開催されたサウナ国際会議でカルチャーショックを受けたという。

「郊外の森の中にあったスモークサウナで、スモーク特有の香りや木漏れ日の光が印象的でした。さらに快適だったのが、外に出て湖に浮かんだ時です。大自然に抱かれている感じがしました」

フォレストサウナでは、熱い石に水をかけて蒸気を発生させたフィンランド式ロウリュを体験。通常よりも低い天井で熱が回る。

日本でのサウナ施設は、ビジネスマンの憩いの場として発展してきた。確かにストレス解消にはなったが、リラクゼーションとしては皮相的だった。米田さんが本場で実感したサウナの本質とは、自然とつながること。使命に感じたという日本におけるその布教が「サウナラボ」に結実した。最初は地元名古屋、続いて福岡に女性専用を開設。そして老舗印刷会社のビルのリノベーションに参画し、今年5月に神田でオープンした。すでに連日予約が入る盛況ぶりだとか。

サウナ後の冷水の代わりに、マイナス25℃の冷気を浴びるアイスサウナを設置(左奥)。

米田さんは、名の通りここは「ラボラトリー」だという。ロウリュなどの本場フィンランドの仕様を取り入れつつ、日本の都会で自然を感じられるよう、さまざまな工夫が施された。たとえば、北欧の冷気を彷彿とさせるアイスサウナ、坪庭のような内気浴のスペース、禅室を思わせる瞑想的なIKEサウナなどのユニークなスペースが備わっている。

サウナから出れば森の中という本場フィンランドの雰囲気を体験できる「小さな大自然」。木、草、土はすべて本物をあしらった。ビル内のため、外気浴ではなく内気浴と呼ばれる。

「デジタルでは、どうしても脳への情報が過多になります。でもサウナには熱い、寒い、心地いいという身体性しかない」

近年、サウナにはアドレナリンの放出と、自律神経における副交感神経の優位が両立するという効能が唱えられている。発汗と冷却のサイクルに加え、皮膚で自然を味わうサウナラボはその進化形といえるだろう。

「子どもの頃に感じた大地に近いイメージが味わえると思います」

一切の雑念を取り払い、何もしないという贅沢。古代人と同じような身体感覚を呼び寄せる時間は、デジタルの二進法にどっぷり浸かった現代人にとって貴重なくつろぎとなるはずだ。

サウナ後のリラクゼーションスペース、ヴィヒタマウンテン。山の斜面を模したステップで好きにくつろげる。男女共用。

グッズコーナーにはフィンランドから輸入したサウナハットも置いている。籠る熱気から頭部を守る目的だが、カラフルなデザインは見ているだけで楽しい。

文=酒向充英 写真提供=ゆかい

(ENGINE2021年8月号)

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