2021.09.20

WATCHES

2021年注目の新作腕時計「カール F.ブヘラ」篇

オンラインによるリモート開催となった世界最大の時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2021」を振り返る第24弾。カール F.ブヘラからはブランドを代表するペリフェラルテクノロジーの特許技術が詰まったミニッツリピーターに注目し、時計ジャーナリストの菅原茂氏とエンジン時計担当の前田清輝がその魅力を解説する。

ペリフェラルテクノロジーで最高峰の複雑時計を創作

最近一部のハイエンドモデルにも使われ出したペリフェラルローター。ムーブメントの外周(ペリフェラル)に配したリング状のローターでゼンマイを巻き上げるこのシステムを2008年に開発してからそのパイオニアとして歩んできたカール F.ブヘラが、ペリフェラルテクノロジーの集大成ともいえる驚異の複雑時計を発表した。ペリフェラル自動巻きはもとより、ペリフェラルの仕組みを応用したフローティングトゥールビヨンと、ペリフェラルレギュレーターが備わるミニッツリピーターを搭載し、そのすべてが特許。これらの機構を視覚化したデザインもまた画期的だ。


 


マネロ ミニッツリピーター シンフォニー

ムーブメント外周の自動巻きローター、ミニッツリピーターの調速機、宙に浮くトゥールビヨンのすべてがペリフェラルテクノロジーの産物。ダイアルでは上からトゥールビヨン、ミニッツリピーターの調速機とハンマー、そしてケースバックではペリフェラルローターを目にすることができる。ペリフェラルローターの仕組みが見える裏面は、特殊なローターのおかげでムーブメントの精巧な機構がさえぎられず隅々まで見渡せる。自動巻き、自社製CFBMR3000、COSC認定クロノメーター、約65時間パワーリザーブ。ローズゴールド、ケース直径43.8mm。5390万円。



パトラビ スキューバテック モルディブ
海洋生物の保全保護団体マンタトラストと2013年からパートナーシップを組み、今年はその4番目となるコラボウォッチを発表。美しいブルーに彩られたこのモデルの直径44.6mmのケースは、500m防水で、自動ヘリウムエスケープバルブを装備する本格仕様。自動巻き、COSC認定クロノメーター。ステンレススティール。99万円。

時計ジャーナリスト・菅原茂はこう見た!
他ブランドの複雑時計にもじわじわと広がりつつあるペリフェラルローターだが、それを傍目に元祖も発奮したのではなかろうか。もっとすごいことに挑戦しようと。ペリフェラルをミニッツリピーターに応用したのは、ブランドの本拠地ルツェルンの有名な祝祭管弦楽団とも関係する。だから「シンフォニー」とは、洒落ているではないか。

ENGINE編集部・前田清輝はこう見た!
ペリフェラルローター、ペリフェラルフローティングトゥールビヨン、そしてペリフェラルレギュレーターを備えたミニッツリピーター。カール F.ブヘラが開発し特許を取得する3つのペリフェラル機構を搭載する新作は、まさにブランドの技術の結晶とも言える存在だ。視覚、聴覚でそれぞれの機構を一度でも楽しんだら時計ファンならずとも欲しくなる。

文=菅原茂/前田清輝(ENGINE編集部)

(ENGINE2021年7月号)

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