2022.05.18

LIFESTYLE

今の時代でも人の心を捉えるデザインとは? 注目すべきは新作よりも復刻された名作家具!

コロナ禍で新作家具を発表する機会が随分と減った中、逆に見直されるようになったのが名作家具の復刻。現代的にアップデートされた製品が次々に登場している。

「ミラノ・サローネ」は6月に開催予定だが

コロナ禍により、世界の家具デザインの潮流に変化が表れている。魅力的な「復刻」が大挙して登場しているのだ。

それまで家具といえば、メディアの話題の中心は新作だった。情報の震源地は「ミラノ・サローネ」。毎年ミラノで開催されてきた世界最大の家具の見本市は、新作のお披露目の場に選ばれてきた。なんといっても、メディアやバイヤーなど、世界中から40万人近い業界関係者が集まるのだ。大小合わせると2000近くの催しが行われるミラノの華やかな一週間が、家具のトレンドを作ると人々は考えていた。

ところがコロナのため、2019年4月以降本格的なサローネは開催されていない。しかも長期間、開催できるか否か分からない中途半端な状況で、デザイナーも製作現場も士気が上がらないとか。次回のサローネも、この4月から延期されて6月に予定されている。もし今回開催されても、人出は以前に及ばないだろう。識者の中には、かつての見本市ビジネスの時代には戻らないという声もある。



一方、コロナ禍で目立つのが、家具や照明の復刻である。五月雨的ではあるが、スタイルのある名品が続々と再登場しているのだ。イギリスのデザイン専門誌が主宰する賞では、新作家具よりも復刻家具の方が質量ともに充実していたくらいである。大きな変化だ。そのような訳で、復刻された家具や照明で、日本でも販売が始まった魅力的なものを取り上げてみた。

デザインは消耗品ではない

復刻品の良さは、今の時代でも人の心を捉えるデザインを、現代の技術や素材で、21世紀の道具として蘇らせていること。家具は、大抵何十年も使うものである。最新のデザインである必要はない。さらにSDGs的な考え方が、復刻に拍車をかける。デザインそのものを、短期間で消費しないのは重要なことだ。振り返ってみれば、サローネで発表される家具の中には、僅か数か月で忘れられてしまうものも少なくなかった。

良いデザインのものを、長く大切に使う。コロナ禍で、当然のことが見直されているように思う。





文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー)

(ENGINE2022年6月号)

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