2022.07.04

WATCHES

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新素材と色が生み出したアイ・ダブリュー・シーの物語

長い歴史と伝統を誇っていても、ときには苦難の壁に直面することもある。そんな窮地を脱する術もまた、歴史と伝統のなかに秘められている。だからこそファンはその時計のデザインに心を奪われ、機能に夢中になる。そして気になりだすと、見えないことがもっと知りたくなる。「どうしてこのデザインが誕生したのか」、「どのように作られているのか」、「どのような歴史を辿ってきたのか」――。時計には製作者やブランドの想いが込められたストーリーがあり、知れば知るほど虜になってしまう。そんな素敵なアイ・ダブリュー・シーの魅力を紹介しよう。

パイロット・ウォッチ・クロノグラフ41 トップガン・セラタニウム(R)
セラタニウム(R)はチタンの軽さとセラミックの硬さとを併せ持つ。リュウズとプッシュボタン、ストラップのバックルも同素材製。モノトーンな外観は、どこか静謐な印象でもあり、日本人の感性に合う。ケースバックにはスモーキーなサファイアクリスタルを用いて色調を統一し、自社製Cal.69000系を透かし見せる。年間500本限定生産。自動巻き。セラタニウム(R)、ケース直径41.1mm、10気圧防水。158万4000円。

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セラタニウム(R)はケースとして完全に機能するよう切削成形した後、専用炉で高温焼成し、表面をセラミック化させる。コーティングと異なり、強く当たっても剥がれ落ちることはない。




パイロット・ウォッチ・クロノグラフ・トップガン “ウッドランド”(上)、“レイクタホ”(下)

“レイク・タホ”は、ホワイト×ブラックの明確なコントラストが実に華やか。リューズとプッシュボタンはSS製。IWC初のグリーンセラミックをまとう“ウッドランド”は、ストラップだけでなくダイアルの色調もケースに合わせ、ミリタリーな雰囲気を高めた。リューズとプッシュボタンはセラタニウム製。各年間1000本限定生産。自動巻き。セラミック、ケース直径44.5mm、6気圧防水。各134万2000円。


セラミックの原料は求める色に応じ、炭化ホウ素や窒化ケイ素、酸化アルミニウムといった化合物の微粉末を使い分けている。IWCは業界初のサンドベージュのセラミックも有する。

窮地を乗り越えた素材革新の歴史が交錯する

1970年代から80年代初頭、スイス時計業界は冬の時代にあった。時計ファンならご存じであろう、クォーツショックに見舞われたからだ。

IWCは新技術でこの窮地に立ち向かい、スイスの時計産業が再興を果たすきっかけを作ったブランドのひとつである。まず1980年、ポルシェ デザインと協業でスイス製初のチタンウォッチ「ポルシェ デザイン・チタニウム・クロノグラフ」(Ref・IW3700)を発表。'85年には世界初の永久カレンダー・クロノグラフ「ダ・ヴィンチ」が、IWCの生ける伝説クルト・クラウス氏によって生み出された。さらに「ダ・ヴィンチ」はその翌年、ラウンド型として世界で初めてセラミックケースに身を包んだ。IWCは、新素材と複雑機構によって機械式時計の魅力を再認識させようと試みたのである。それは功を奏し、自社の危機を救ったのみならず、スイス時計産業が再注目される嚆矢のひとつとなった。

鍛造・切削・研磨のいずれにも手を焼くチタンの加工技術をいち早く確立したIWCは、その後多くのチタンモデルをラインナップしていく。一方のセラミックは専門メーカーと協業で製作を続け、その技術を自社に移管。2007年にセラミックケースに特化した「パイロット・ウォッチ”トップガン”」シリーズが誕生することとなる。そのソリッドバックはチタン製。IWCが新素材に取り組んだ歴史が、ここに交錯した。

そんなトップガン・シリーズに2019年、新たなマテリアルがもたらされた。前年に製造方法が確立された独自素材セラタニウム(R)である。チタンにセラミック化する化合物を混ぜ合わせた合金で、切削成形後に高温焼成すると表面に硬化被膜が形成される。すなわちIWCが先駆けたチタンとセラミックとが1つの素材として融和を果たしたのである。

トップで紹介したモデルは、昨年SSケースで試みられた小振りな41mmケースをセラタニウムで設えた最新作だ。チタンとセラミックのハイブリッド素材は、独特の質感で限りなく黒に近いメタリックなダークグレーを呈する。ダイアルとストラップも同色に整え、針とインデックスにはグレーを用いたトーン・オン・トーンは、カジュアルにしてスタイリッシュ。それでいてパイロット・ウォッチが目指してきた優れた視認性を確保しているのが、 IWCらしい。

また通常のセラミックには、これまでトップガンにはなかったホワイトとグリーンが新登場した。レイク・タホとのサブネームを持つホワイトは、米国海軍戦闘機兵器学校トップガンの訓練飛行コースにあるタホ湖の冬の景色と海軍の白い制服がモチーフ。そしてグリーンは海軍飛行士の制服から引用し、深い色調とした。そのサブネームのウッドランドは、迷彩柄の名称にも使われている。裏蓋にはホワイトはチタン、グリーンはセラタニウム(R)を用い、やはりIWCの素材革新の歴史が交錯する。

3モデルとも、コラムホイール式の自社製クロノグラフ・キャリバー69000系を搭載。大きな1枚ブリッジで全体を覆った堅牢な構造は、クルト・クラウス氏の師、アルバート・ペラトン氏の耐久性を重んじる設計思想の継承である。

アイ・ダブリュー・シーの詳しい情報はこちら!

問い合わせ=IWC Tel.0120-05-1868

文=高木教雄 写真=近藤正一
(ENGINE2022年8月号)

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