2023.03.27

LIFESTYLE

ついに日本でもマイホームに核シェルターを装備する時代がやって来る!? 気になる価格は施工費込みでも高級輸入車並み

シェルターは100年以上耐久できる鋼板で囲まれている。

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混沌とする世界情勢に危機意識は比例する。日本の高い技術でつくられた核シェルターがこれまで以上に熱い注目を集めている。

核爆弾の脅威から身を守る

第二次世界大戦終了と共に始まった冷戦は、幸い3度目の世界的な戦火には至っていない。だが、ウクライナ侵攻でプーチン自ら核兵器の使用に言及したこともあり、世界終末時計の針は、終末までの時間が10秒短い1分30秒まで進んだ。核というダモクレスの剣は、依然としてわれわれの頭上でゆらゆら揺れている。



核爆弾の脅威から身を守るために頼みの綱となるのがシェルターだ。非常時を意識しないではいられない海外の国では、これまで決して縁遠いものではなかった。たとえば台湾は、定住人口の3倍超を収容できる10万5000カ所のシェルターを持つ。イスラエルは公共施設、商業ビルへの設置が義務づけられており、新築住宅には壁を強化した区画を設ける必要がある。シンガポールも家庭用シェルターがないと施工の許可が下りない。永世中立国のスイスに至っては、冷戦期から戸単位で義務化されていた。



日本での普及率は?

翻って日本は、唯一の被爆国であるにもかかわらず、核シェルターの普及率はわずか0.02%。だが、ウクライナ侵攻や北朝鮮からの度重なるミサイル発射で、もはや対岸の火事ではなくなったようだ。さらに政府が企業に設置のための財政支援を検討し始めたこともあり、日本でも富裕層を中心に関心が高まっている。その先達が、吉山和實氏が代表を務めるアンカーハウジング。もともとは米国から輸入して販売していたが、より緻密なつくりを求め、国産シェルターの開発に舵を切る。米軍隊へ納入している業者のノウハウを生かし、横浜で空調設備架台を制作している司工業所に依頼。同社でも初めてだったものの、培われた技術力を生かし、依頼から3カ月で完成させた。



内部は10平方メートルで4人での使用、放射能の脅威が落ち着くと言われる2週間の滞在を想定している。外気と内部の空気を入れ替える換気設備、井戸水からの供給装置を備え、電気はソーラーパネルで賄う。コストはシェルター本体と施工費で2000~2500万円程度。高級輸入車並みの値段だが、孫の代までの安全を買うと思えば高すぎることはないだろう。「これからはシェルターありきの家づくりになるのでは」と語る吉山氏。平和を祈りつつ、日本でも剣の落下から身を守る術が、未来への投資となりつつある。

文=酒向充英(KATANA) 写真=松崎浩之

(ENGINE2023年4月号)

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