2023.03.27

CARS

「2速レブリミットで、すでに車速は100km/hオーバー!」 燃焼速度を音速に近づけた最新テクノロジー満載のV6ツインターボの凄さとは? これがマセラティMC20に試乗したモータージャーナリストの生の声だ!!

マセラティMC20

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2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! 新開発、630馬力のV6ツインターボ! F1由来の最新技術に魂が震えた! ロケットのような加速のマセラティMC20に乗って清水和夫さん、大井貴之さん、山崎元裕さんの3人が思わず叫んだ!

音速に近い燃焼速度を実現


電動化などどこ吹く風と言わんばかりの先進的なエンジンを搭載するマセラティMC20は、昭和のスーパーカーを彷彿とさせる。その容姿はサーキットが本籍と感じさせるが、ワインディングを駆け上がる後ろ姿も精悍だ。残念だったのは場内の試乗コースでは100ps程度しか試せなかったこと。なにしろ、ドライバーの後方には630psの新開発V6ターボが格納されているのだ。このエンジンの特徴は副燃焼式を持つことだ。近年のF1の技術だと言われているが、実は副燃焼式のオリジナルは1972年のホンダ・シビックが採用したCVCCエンジン。最近はマツダのスカイアクティブXやGT500のマシンもこの技術を応用している。理由は明確で、狭い部屋で混合気に火をつけると、メインの燃焼室には超高速の炎が伝搬し、2つのプラグを使って燃焼速度を音速に近づけることができるのだ。ここまで拘ればF1由来と言っても過言ではないだろう。ギアボックスは小気味よく決まる8速DCT。恐る恐るスロットルを床まで踏みつけると、まるでロケットのような加速だった。エンジン音はV6とは思えない迫力だった。(清水和夫)

ダッシュボード中央にややドライバーを向きに装着された10インチ・モニターのほかは、余計な装飾は一切取り除かれた、レーシーなコクピット。


カーボン剥き出しでもエレガント

マセラティというとフェラーリ・サウンドが味わえる4ドア・スポーツセダンというイメージを持っている人も少なくないが、時を遡って行くとその起源はレーシングカー・コンストラクター。「サーキットの狼」世代にとってのマセラティと言えば、ミドシップ・スポーツカーのマセラティ・ボーラ。フェラーリとの関係が終わった今、MC20の登場は必然だ。低くマウントされたエンジンは630ps、730Nmを発生する自社開発された最新テクノロジー満載のV6ツインターボ。カーボン・モノコックはダラーラ製。鮮やかに塗装された外板は太陽の光に青く輝く。インテリアもカーボンを剥き出しにしながらもエレガントさを感じる辺りはマセラティだ。パーキング・スピードを含めた街乗りでは驚くほど穏やか。今回の試乗では2.9秒という0-100キロ加速を味わう機会は無かったが、フルブーストが掛かる2700rpm辺りからの加速はスペック通りのモンスター。強烈でありながら、爆音を撒き散らすことが無い振る舞いもこのクルマの特徴。ブレーキはコントロール性、制動姿勢を含めて絶品!(大井貴之)

背後にはF1由来のダブル・チャンバーを備えた完全自社開発の3リッター V6が鎮座する。ミドシップに縦置きされる3リッターV6ツインターボは630ps /730Nmのパワー&トルクを発生。8段デュアルクラッチ式自動MTを介して後輪を駆動する。


あくまでグラントゥーリズモ

マセラティ自製の3リッター型V6気筒エンジンをミッドに搭載するスーパースポーツ。この言葉だけで心躍るファンもきっと多いと思う。MC20とネーミングされたこのモデルは、見てよし、そしてもちろんドライブすればさらによしといった、高評価を与えられる一台だ。F1マシン由来の副燃焼室を採用したネットウーノ・エンジンなど、メカニズム的にも触れたい話題は多くあるが、ここはその魅力的なドライビング・インプレッションを共有するにとどめておきたいと思う。630psの最高出力を発揮する3リッターのV型6気筒エンジンは完全な高回転型だ。エンジン・スピードが3000rpmを超える頃から始まる、後方から響く官能的なエグゾースト・ノートをBGMに加速を続けると、2速のレブリミットで、すでに車速は100km /hを超える。今後直接のライバルとなるであろう、フェラーリの296GTBと大きく異なるのはその乗り心地。MC20はもちろんハードなコーナリングにも耐え得る強靭な足が備えられるが、それはあくまでもGT=グラントゥーリズモ的な感覚に仕上げられているのだ。フェラーリとは確実にそのベクトルが異なることを見逃してはならない。(山崎元裕)

写真=茂呂幸正/小林俊樹



(ENGINE2023年4月号)

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