2023.06.04

CARS

トヨタ・プリウスPHEVに試乗! 自動車評論家の国沢光宏が選んだのは「ハイブリッドかPHEVか」 断然、推しは?

トヨタ・プリウスPHEV

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すでに、2年とも言われる長い納車待ちの列ができているプリウスPHEV。クルマそのものの出来もさることながら、気になるのは普通のハイブリッドとの違い。今回PHEVに試乗して、モータージャーナリストの国沢光宏氏はどんな結論を下したのか。

加速はGR86に匹敵する

半導体不足のため人気車はあっという間に長いバックオーダーを抱えてしまう。プリウスPHEVも2年待ちとのこと。その価値があるクルマなのか。

PHEVはZグレードのみで、価格は460万円。

ドライバーズ・シートに座ると皆さん想像するよりずっと視界は良い。もちろんミニバンやSUVしか乗ったことがなければフロント・ガラスの傾斜は気になるかもしれないけれど、セダンとして考えたら普通。スポーティ・モデルに乗ったことのある人なら全く気にならないと思う。

電動化車両の文法通りスタート・ボタンを押すと「READY」というグリーンの表示が出る。Dレンジを選び、アクセルを踏めばモーターだけで走り出す。ハイブリッド車に乗っているとタイヤ2、3転がりでエンジン始動となり静寂さを破られるものの、PHEVだとモーターで走り続けるため気持ち良い。

装飾が若干変わるだけで、基本的には内装の仕立てはHEVと同じ。

電気自動車モードのままでも絶対的な動力性能は必要にして十分。今回、大黒PAからベイブリッジまでの登り区間を加速しながら走ったけれど、全く問題なし。電気自動車モードのまま135km /hまで出るという。電気自動車として実用航続距離は19インチ・タイヤ仕様で70kmほど。転がり抵抗の小さい17インチ・タイヤ仕様だと80kmくらい走れるという。自宅で充電できるのなら、標準的な使い方であればガソリンを入れなくてもいいんじゃないかと思えるほど。電気自動車に乗りたいが、電欠の心配をしたくないというような人には素晴らしい相棒になってくれるだろう。何より電気自動車モードだと渋滞を走ってもエンジンが掛かったり止まったりしないため快適である。



続いてエンジンも使う「スポーツ」モードで試乗してみた。アクセルを深く踏み込むや、走行用バッテリーに加えエンジンで発電した電力とパワーを使い223馬力というシステム最高出力を引き出す。この時の0-100km /h加速は6.7秒で、スポーツ・モデルであるGR86に匹敵する。いや、的確なクラッチミートとマニュアル・シフトを要求されるGR86と違い、誰でもアクセルを床まで踏み込めばいいだけ。クーペのようなデザインを持つ新型プリウスにふさわしい動力性能だと思う。意外なことにエンジンが掛かっても普通の2.0リッターハイブリッドより静かで滑らか。というのもPHEVは振動を抑えるバランスシャフトを採用しているからにほかならない。パワーだけでなくエンジンの静かさや質感でも普通のプリウスより好ましかった。

普通のハイブリッド(HEV)との大きな差は給電口の有無、ホイール・デザイン、クリアレンズになるテールライト。

こうなると迷うのが「ハイブリッドかPHEVか」だと思う。価格差は同じ「Z」グレードだと90万円。実際に買うとなればPHEVだと55万円の補助金を使える。自動車税や重量税の優遇なども総合すれば、5年乗って25万円+αの免減税も受けられるため実質的には10万円差。自宅で充電できない人でも高性能パワーユニットを買ったと考えたら安い! さらに自宅に充電環境を持っていればガソリンより割安な電気で走れるため10万円差などすぐ取り戻せるだろう。加えて3~7年後に手放す時の買い取り金額だってハイブリッドより圧倒的に高い。総合して考えたら、補助金があるうちはPHEVを買っておくのがベストだと考える。ちなみに東京都だとさらに45万円の補助金を使えるから嬉しい。

文=国沢光宏 写真=望月浩彦

(ENGINE2023年7月号)

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