2024.07.15

LIFESTYLE

狭い入り口はまるでドラえもんのどこでもドア 玄関扉の向こうに広がる驚きの世界 旗竿地の狭小住宅を広々空間に変えた秘密とは?

最も高い所で5mを超える天井高のリビング・ダイニング

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、テスラが置かれた旗竿敷地の奥に建つ個性的な色合いの一軒家。デザインにもこだわった家の内部は、面積以上の広さを感じさせる様々な工夫が凝らされていた。ご存知、デザインプロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

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住宅に囲まれた旗竿地

東京23区の西側、私鉄の駅から少々離れた住宅街に、Yさん(42歳)一家の茜色をした家は建っている。自宅で働くことの多い、クリエイティブ系自由業のYさん。毎日通勤する必要はないので、住まいは駅から離れていても支障はない。住むにあたって考えたのは、子育てしやすい環境。ここは子供の学校に近く、付近には大きなスーパーマーケットがある暮らしやすいエリアである。それにしてもこの茜色の家、なかなか楽しそうだ。家が建っているのは、周囲を住宅に囲まれた旗竿地。敷地の入口から覗かなければ、この鮮やかな色の建物に気付くことはない。



そんな旗竿敷地の竿の部分は、テスラ・モデル3(2021年製)が停まっている駐車スペース。家が建つ際に乗り換えた。それまでの愛車は、10年ほど乗ったジープ・ラングラー。冬にスノーボードに出かけるので、重宝していた。そんなジープから正反対のテスラへの乗り換えを、Yさんは「ガジエット好きで、人が持っていないものに関心があるんです。当時はEVカーに乗っている人はまだまだ少なく、試乗してみると走りも良くて。EV補助金が、乗換えの大きな後押しになりました」と話す。

密集地でも明るい室内

Y邸は、外観だけでなく内部空間も個性的だ。メインとなるリビング・ダイニングは、天井高が5mを超える大空間。建築面積52平米の家とは思えない広さを感じる。この大きなリビング・ダイニングが可能になったのには、理由がある。子供部屋にあえて机を置かず、2階の東側と西側を繋ぐオープンなブリッジ部に、細いテーブルと椅子を置いて共用の勉強スペースとしたのだ。子供部屋も、ベッドが置かれただけのミニマルな空間である。





またこの家は、廊下を極力排した間取りになっている。Yさんの仕事部屋は、キッチンの奥。飲み物を取るのにも、便利な位置だ。

階段も積極的に有効活用している。リビング・ダイニングの一番奥の、1階と2階をつなぐ階段周りは、観客席のようなユニークな形状。ここは、座って本を読んだり寝転んだりと、様々な用途に使える多目的スペースだ。階段下は、収納になっているうえ、温風の吹き出し口が隠されている。

デザインもこだわったもの。外壁のような仕上げのリビング・ダインニングのグレーの壁には幾つも窓が設けられ、外部から家の奥に道が続いているようだ。窓枠に飾られた植物の鉢も、お洒落なカフェのような雰囲気を醸し出している。この窓の奥にあるキッチンは、子供たちが料理を手伝いやすい広さのうえ、リビング・ダイニングからは見えない作りになっている。それでいてブリッジ部で子供たちが勉強している時は、キッチンの窓越しにやりとりができるよう考えられている。

取材でお邪魔したのは、雨の上がったタイミングのどんよりと曇った日だったが、隣家が迫った敷地にもかかわらず室内は随分と明るかった。リビングの南面を全面ガラス窓にし、その先を半屋外の前庭としたことの効果が大きい。囲われた前庭はプライバシーが確保されているので、ここで運動をすることもあるそうだ。こうしたいくつもの要素の積み重ねで、個性的なY邸は成り立っている。





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