2025.02.27

CARS

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これが最後の"天使の分け前" 純内燃エンジンのコンチネンタル GTにモータージャーナリストの藤原よしお氏が試乗 新車で乗るラストチャンス

試乗車は、4リッターV8ツイン・ターボを搭載するコンチネンタル GT アズール ラスト・オブ・ライン コレクション。

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いよいよパワートレインが新世代へと移行するコンチネンタル GT。電動化された新たな世界に期待が膨らむその一方で、最後となる純内燃エンジン・モデルの魅力は抗しがたいほど大きくなっている。今回はモータージャーナリストの藤原よしお氏が、そんな最後のV8ツイン・ターボを搭載するコンチネンタル GT アズール ラスト・オブ・ライン コレクションに試乗し、なぜこれほど内燃エンジン・モデルに惹きつけられるのか? あらためてその魅力を探ってみた。

モルトウイスキー

ここ数年イギリスでは比較的暖かい南部を中心にワイナリーが増え、様々な銘柄のワインが製造され高い評価を得ているのをご存じだろうか?



最初に聞いた時には「イギリス産のワイン?」と驚かずにはいられなかったが、パブ文化の国であり、ビールやウイスキーといった酒造りに長けた国であることを思えば、ワイン造りが上手いのも納得のいく話ではある。

それはクルマも同じかもしれない。

昨年、新たに4リッターV8エンジンとモーターのハイブリッド・パワーを得た新型コンチネンタル GT スピードに試乗した時「これはまさにイギリス産のワインだ」と思った。なぜなら、スムーズでパワフルなパワーデリバリー、見事な足捌きといったパフォーマンスは新味溢れ得るものだったのだが、その乗り味、感触はベントレーそのものだったからだ。



そして最新のコンチネンタル GT スピードを新進気鋭のイギリス産ワインとするならば、純内燃機関(ICE)をもつ先代までのコンチネンタル GTシリーズは、いわば年代物のシングルモルトのようなクルマだと思う。

モルトウイスキーは製麦、糖化、発酵、蒸留という手間をかけたうえで、さらに長時間熟成させることによって、はじめて我々が口にすることができる。思えばベントレーも、英国クルー工場において厳選されたマテリアルを使い、1台、1台が熟練のクラフトマンたちによって丁寧に作られたものだ。



例えばICEモデルの先代コンチネンタル GTの1日あたりの平均生産台数は26台(フライングスパーを含む)。また1台のコンチネンタル GTを製造するのに掛かる時間はおよそ110時間で、レザーステアリングのステッチを仕上げるのに約4時間、シート1脚を製作するだけで23~45時間、ウッドパネルも1組9時間以上をかけて作られている。そしてコンチネンタル GT自体も、2003年にジュネーブ・ショーで発表された初代以来、21年間3世代にわたり、ハイエンドAWD 2+2GTとして進化を遂げてきたものだ。

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思わず膝を叩きたくなるエキゾーストノート

仕事柄これまで何台も試乗してきたこともあってか、改めて4リッターV8ツインターボ・エンジンを積むコンチネンタル GT アズールに乗り込むと、ホッと癒されるような気持ちになる。そしてセンターコンソールにあるスターターボタンを押しV8エンジンが目覚めるエキゾーストノートを耳にすると「そうそう、これこれ」と思わず膝を叩きたくなった。





このV8エンジンはそもそも「2012年までにCO2を全モデルで最低15%削減。40%以上の燃費向上を果たすパワートレインの開発」という目標を達成するために2012年に第2世代のコンチネンタル GTから投入されたものだ。一見してその違いはわからないが、約10年間にわたって進化、熟成が図られ、当初は最高出力507ps、最大トルク660Nm、CO2排出量は246g/kmだったものが、最終進化型となる2024年モデルでは最高出力が550ps、最大トルクが770Nmへとアップしているほか、CO2排出量は50g/kmにまで大幅に削減されているのである。

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それでいてわずか2000rpmで最大トルクを発生し、どのような状況下でも安心して身を委ねることができる扱いやすさと、軽やかでシャープなレスポンスは絶品。高速道路をロングツーリングせずとも、ほんの数百メートル動かしただけで思わずニンマリとしてしまう。

加えて素晴らしいのが、アクティブエアサスペンションと可変ダンパー、48Vの電動スタビライザーを組み合わせたAWDシャシーの仕立てで、どのような路面状況であってもショックを見事に吸収し快適な乗り心地を維持しつつ、常にフラットな姿勢を保ったまま、4輪を通じてしっかりとエンジンのパワーを路面に伝え続けてくれるのである。



まさに「グランドツアラーの鑑」というべき走りっぷりに惚れ惚れとしながら、ふと気がついたのは、とても車内の「耳障り」がいいことだった。というのもウェルネスの向上を目指して用意されたアズールにはピレリノイズキャンセリングシステムが備わっており雑多なロードノイズが遮断され、エンジンなど運転に必要なサウンドが程よくクリアに入ってくるからだ。

あわせて、ウッドやレザーで彩られたインテリアの質感、仕上げのみならず、レザー・ステアリング、メッキが施されたシフトノブ、ウインカーレバーなど直接手に触れる部分の質感、そして作動感が気持ちいいのもベントレーの美点のひとつ。他愛のないことに思われるかもしれないが、ペリカンの万年筆やゾーリンゲンのナイフの質感に高級感を感じるのと同様、運転中に触れる機会が多い部分の作り込みもまた「高級感」を感じるうえで、重要な要素のひとつだと思う。

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そうした自動車として、ハイブランド製品としてのひとつ、ひとつの所作が高いクオリティに保たれているのもまた、ベントレーの魅力である。そして今回試乗したコンチネンタル GT アズールには、「スタイリング スペシフィケーション」と呼ばれるハイグロスのブラックカーボンファイバー製のリアスポイラー、ベントレー・ウィングロゴの入ったサイドシルなどが装着されていたが、こうした豊富なオプションパーツ、内外装のカラー、インテリアのハイド、ウッドパネル、さらに各ディーラーによる特別仕様車が用意されているのも、ベントレーのもうひとつの魅力といえる。

聞けばわずかではあるが、ベントレーの各正規ディーラーでは熟成極まったICEモデルのコンチネンタル GTシリーズを新車で手にいれるチャンスが残されているという。もちろん高品質と手厚いアフターサービスで定評のある認定中古車の「サーティファイド・バイ・ベントレー」まで射程圏内に入れるならば、かなりの数の中から好みの1台を選ぶことができるはずだが、やはり「新車」という響きに抗し難い魅力があるのは否定しない。いずれにしろ、至福のベントレー・ライドを味わいたい向きには、すぐに最寄りのディーラーを訪れることを強くお勧めする。

ちなみに熟成を重ねて香りと味に深みを増したモルトウイスキーは、厳重に樽に詰めていても毎年、数パーセントが自然に蒸発して失われてしまう。それを彼の地の人々は「Angel’s Share(天使の分け前)」と呼んでいるそうだが、ベントレー・コンチネンタル GTに限っては、熟成極まった「Angel’s Share」が失われずに、我々の元に残されたことを素直に感謝したい。

文=藤原よしお 写真=望月浩彦

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