2025.02.27

LIFESTYLE

一泊6200円から! 宿泊値段が急騰するビジネスホテルの代わりは、コンテナホテルだ! ただいま各地に急増中

駐車場からホイール分のステップを上がって入る。水道、電気などのインフラは地下にあり、供給用のパイプはワンタッチで取り外し可能。

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1号店オープンからわずか数年で100店舗に迫るほど拡大。高速道路からのアクセス抜群のエリアに展開されるコンテナホテルは、快適なビジネスユースと緊急時出動という両輪で注目を集める。

「20世紀の隠れた大発明」とも言われるのがコンテナ。堅牢で耐久性があり、一定の規格で船舶から鉄道、車両までワンストップでの運搬を可能にしたことから、グローバルな物流の効率化に多大な貢献を成した。こうした輸送形態はコンテナリゼーションと呼ばれるようになる。

コンテナ2個分を使用したデラックスツインルームにはテーブルやキッチンスペースもある。家族での滞在もOK。

タフな構造は建築家に注目され、住居空間へのコンバートが試みられた。だが、住むのに欠かせない窓やドアをつくることで、ストロングポイントである強度が削がれてしまう。そのため、日本ではJIS規格鋼材を組み込んだ建築用コンテナが使われており、デベロップ(千葉県市川市)はそのモジュールメーカーとして事業展開を行っていた。以前は倉庫や店舗としての利用が主だったが、東日本大震災時に被災者の避難所生活に関する問題に着目、コンテナホテルへの分野に乗り出す。2017年にはコンテナを2段に積み上げたHOTEL R9 SANOFUJIOKAをオープン、翌2018年にはコンテナ1台を1客室にし、タイヤを付したHOTELR9 The Yardをスタートさせた。

コロナ禍で実際にレスキューホテルとして活躍した。コンテナに車輪がついているため、トレーラーヘッドとジョイントすれば、短時間での出動が可能。

車両移動のビジネス需要を見込み、各ホテルは主に幹線道路沿いや高速道路のインターチェンジにアクセスが良いロケーションにある。駐車スペースと共に並ぶ様は一見無骨だが、室内は13平方メートルあり、バス・トイレはもちろん、デスクや大きめのベッド、冷蔵庫や電子レンジを完備。フロントでは一食分の軽食が提供されるほか、ドリンクも無料だ。主要駅周辺のビジネスホテルにも劣らないサービスを提供しながら、ひとり一泊あたり6200円からというリーズナブルな価格設定が支持され、すでに25県、98店舗まで拡大している。

さらにHOTEL R9 The Yardはレスキューホテルとしての顔を持つ。有事の際はトレーラーヘッドにつなぎ、被災地へと牽引され、避難所や医療、復旧業務の派遣スタッフの宿泊施設等となる。直近のコロナ禍では首都圏のみならず、九州の医療現場まで派遣された。

ロードサイドのモーテルは、文字通りアメリカのモータリゼーションが発祥。コンテナホテルはそこに快適さと救助へのモビリティという要素が加わった。20世紀の大発明によるコンテナリゼーションは、21世紀に日本で“動くホテル”という新たな価値を生み出そうとしている。

文=酒向充英(KATANA)

(ENGINE2025年4月号)

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