愛犬、ココちゃんを迎えたことで生活が激変したというモータージャーナリストの清水和夫さん。ポルシェではケージが積めないと、愛車はなんとスポーツカーからSUVのレンジローバーに! ライフスタイルまで変えてしまった愛犬との生活。別荘まで買ってしまったという顛末とは?
清水家は動物家族
私の愛犬ライフを紹介しよう。我が家では家族全員が犬や猫好きなのでいつも動物が家族の一員となって過ごしてきた。

2010年以前はラブラドール(盲導犬)のメスを飼い、パピー(子供)を繁殖させ、盲導犬協会に寄付していた。多産犬なので数頭のパピーが生まれる。母親がヘソの緒を噛み切るが、失敗することもある。するとパピーのお腹から出血したりするので、糸を何本も用意し、すぐにヘソを縛り付ける準備をする。そんなことを我家では息子が担当していた。
生まれたてのパピーでも数日経つと個性が現れ、見ていてあきない。約1カ月も過ぎると盲導犬協会にもらわれていくので「その子たちがどんなに幸せな一生を過ごすのか」なんて考えるとつらくなるから、感情移入は禁物だ。
2頭目のメス(母親犬)がなくなったとき、盲導犬協会への寄付は終わりにした。大型犬だったので介護が大変だった。つぎに飼うのは中型犬と決めたのだが、どんな犬種がよいのか迷っていた。そこに知り合いから紹介されたのが、ブリタニー・スパニエルだ。野鳥専門のガンドッグ(狩猟犬)として、活躍するアスリート犬である。東北の銃砲店がブリタニー・スパニエル専門の犬舎を営んでいるので、そこでパピーが生まれるのを待つことにした。

パピーが生まれたので妻がくりこま高原まで見にいき、数多いパピーの中から1頭をチョイス。妻は愛嬌をふりまくパピーを選んだが、犬舎は「こっちの子がよいと思う」と、愛嬌の悪い子を選んだ。群れになびかず、孤高な性格を受け継ぐパピーがよいと犬舎が勧めたのだ。
どの子がいいのかなんて分かるわけがない。人間社会でも子は親を選べないから、どんな子でも我が家にきたら、思い切り愛してあげればいいと思った。フランスの女の子なので、ココ・シャネルのココ(COCO)と名付けた。

生後60日がすぎると里親に出すことができる。くりこま高原から世田谷の我が家まで西濃運輸で運ばれてきた。集配所にいくと小さなケージに入れられ真っ暗なトラックに揺られて到着したココは不安そうにしていた。そのときのココの顔は忘れられない。里親を初めて見たココは、そのとき何を感じていたのだろうか。
温かいタオルで身体を拭き、小さなココを胸の中で抱くと、安心して眠りについた。