2010年に正式発表されたレクサスのスポーツモデル“F”の頂点に位置する「LFA」は、500台のみ生産された貴重なスーパースポーツカーだ。
当時の新車価格は3750万円!レクサスLFAはプライス以上の体験ができる高級スポーツカー
LFAは、プレミアムブランドであるレクサスのスポーツモデルの頂点に位置するモデルだ。優れた運動性能や“天使の咆哮”とも称される気持ちいいエンジン音などが特徴となっている。

LFAの魅力は、V10自然吸気エンジンがもたらす圧倒的な速さとアクセルペダルの操作に対する心地よいサウンドだ。この官能的なドライビング体験は、世界で唯一といっても過言ではないだろう。
機能からデザインされたLFAのエクステリアとレクサスらしい上品なインテリア
デザインは、フロント・ミッドシップとなるV10ユニットとリアトランスアクスルのレイアウトにより、乗員を中心に配置したフロントエンジン・リア駆動らしいプロポーション。空力性能と風のイン・アウトをボディ全体でマネージメントするCFRPキャビンをレクサスのデザイン・フィロソフィー「L-finesse」に基づき表現している。

インテリアは、超高速ドライビングからクルージングまで、さまざまなシーンでレクサスのスポーツモデルらしさを感じられる上品な空間となっている。
LFAで採用された技術はGRヤリスにも使われている?!
パッケージングは、先述したとおり素直な操作性が特徴のFR。エンジンやトランスミッションなどの重量物をホイールベースの内側に配置し、理想的な前後重量配分(48:52)を実現している。

また、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)とアルミにより軽量化と剛性を両立させたボディを採用するなど、当時としては最高峰の技術を結集させているのも特徴だ。

ちなみに、ボディを軽量化するためのCFRPなどLFAの製造で培った技術は、その後に登場するレクサスLCやGRヤリスといったスポーツカー、エコカーのプリウスPHVなどにも応用されている。
LFAのための至高のエンジン!4.8リッターV10自然吸気(1LR-GUE)
LFAに搭載されるエンジンは、ヤマハ発動機と共同開発した4.8リッターV10自然吸気(1LR-GUE)だ。このV10エンジンが奏でる“天使の咆哮”とも称されるサウンドは、LFAの象徴となっている。

LFAに搭載されるV10エンジンは、チタン製コネクティングロッドや吸排気バルブ、DLCコーティングを施した超軽量ロッカーアーム、クランクケース各室独立構造などにより、一気に9000rpmまで途切れることなく吹け上がる。わずか0.6秒でレッドゾーンに達するため、アナログメーターではなくデジタルメーターが採用されたのは有名な話だ。

また、気筒ごとに独立した電子制御10気筒独立スロットルやシフト操作に俊敏に反応する6速ASG(Automated Sequential Gearbox)などにより、ドライバーの意思に素早く反応する高いレスポンスを実現しているのもLFAの特徴だ。
人馬一体の走りを楽しめるチューニングがされた足まわり

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式。フラットでしなやかな走りを実現しているだけでなく、軽量・高剛性なCFRPキャビン、専用チューニングのスポーツモード付VDIMなどとあわせ、人車一体となったハンドリングを楽しめる。
世界限定500台のうち50台はニュルブルクリンク・パッケージ

LFAは、世界限定500台のみ生産されたスーパースポーツカーだ。このうちの50台は、大型のエアロパーツやバケットシートを装備したニュルブルクリンク・パッケージとなっている。なお、LFA(スタンダードモデル)の新車当時の価格は3750万円だった。
思いのほか扱いやすいサイズ?!レクサスLFAの主要スペック
レクサスLFAは、世界のスーパーカーと肩を並べるほどの実力を備えているだけでなく、唯一無二の価値を持つモデルだ。その主なスペックは次のとおりとなっている。

・全長:4505mm
・全幅:1895mm
・全高:1220mm
・ホイールベース:2605mm
・車両重量:1480kg
・トレッド(フロント/リア):1580mm/1570mm
・乗車定員:2人
・エンジン:V型10気筒DOHC(1LR-GUE型、排気量4805cc)
・最高出力:412kW(560PS)/8700rpm
・最大トルク:480Nm(48.9kgm)/6800rpm
・トランスミッション:6速ASG
・駆動方式:FR
・サスペンション(フロント/リア):ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
・ブレーキ(フロント/リア):ディスク(カーボンセラミックブレーキ)/ディスク(カーボンセラミックブレーキ)
・タイヤ(フロント/リア):265/35ZR20(95Y)/305/30ZR20(99Y)
・最高速度:325km/h
・0-100km/h加速:3.7秒
・販売台数:世界限定500台(日本での販売台数:165台)
・生産開始時期:2010年11月
・生産終了時期:2012年12月14日
・販売価格(発売当時):3750万円

LFAのサイズは、レクサスの2シーターモデルであるLC(クーペのサイズ=全長4770mm、全幅1920mm、全高1345mm)より小さい。車両重量は、LC(クーペ)が1930〜2010kgであるのに対し、CFRPなどで作られたLFAは1480kg。このことからも、いかにLFAが軽量なのかがわかるだろう。
実はオープンモデル「ロードスター」もあるレクサスLFA
レクサスLFAには、オープンモデルのロードスターが存在する。LFAロードスターは市販化されることはなかったが、イベントで展示されるなど時々その姿を現す。

2010年〜2012年までの2年間にわたり、1台ずつ職人が丁寧に生産したレクサスのスーパースポーツカーLFAは、今後もレクサスのスポーツシリーズ「F」の頂点に君臨し続けるだけでなく、自動車史でも語り継がれるモデルといえるだろう。

LFAの生産終了から13年後となる2025年冬、トヨタのスポーツカーシリーズ「GR」の新型が発表される。事前に公開された予告画像にLFAの姿が並んでいたことから、何らかの関係性があるのかもしれない。
新しい時代のトヨタのスポーツカーは、どのようなモデルになるのだろうか。新型モデルの発表が楽しみだ。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)