2025.12.03

CARS

“フライト・モード”を備えた「ディフェンダー」がダカールへ!【ラリーレイド専用マシン】いよいよ公開に

戦うディフェンダーに備わる“フライト・モード”とは?

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2025年初め「ディフェンダー」での世界ラリーレイド選手権(W2RC)参戦を表明したランドローバー。その出走マシンである「ディフェンダー・ダカールD7X-R」が、いよいよ姿を現した。

空を飛ぶから“フライト・モード”付き”!


これまで、カモフラージュを施したプロトタイプでのテストの模様などは報告されていたが、今回は全貌が明らかになった。レギュレーションは主要な要素に関して、ベースとなった「ディフェンダー・オクタ」からの改造範囲を制限しているものの、この「ディフェンダー・ダカールD7X-R」には極限のチャレンジのために設計したモディファイが施されている。



ボディ・シェルは「ディフェンダー110」のものだが、燃料タンクは550リットルの専用品を車体後部に搭載し、800km以上の行程に備える。車内には、競技仕様のロールケージも組まれた。ボディ・ワークは前後が変更され、対地障害角を改善。路面とのクリアランスも拡大された。ルーフには、ライト・ポッドとキャビンへの通気口が設けられている。



60mm拡幅されたトレッドと35インチ・タイヤを収めるべく、オーバーフェンダーも設置された。ドア・パネルは調整され、アンダーフロアを保護するサイドシルも追加。サスペンションは、フロントがシングルのコイル・オーバー、リアは並列配置のツイン・ダンパーを装着するが、これはビルシュタインとの共同開発で、過酷な走行環境と、拡大された燃料容量に対応するものだ。



エンジンは、基本的に「ディフェンダー・オクタ」のV8をそのまま使うが、リストリクターにより出力は制限される。とはいえ、冷却系は強化。グリルを含めたフロントまわりはエア・フローを最適化し、ラジエーターは3基構成に変更した。低速時のクーリング・エアを確保するため、12Vのファンも4基設置している。ボンネットも、冷却性に配慮した形状となった。ただし、エア・インテークには砂漠走行も考慮した粒子フィルターを備える。

トランスミッションも、市販車と同じ8段ATだが、ファイナル・レシオは低くされ、低速での駆動力を最大化した。ブレーキはラリー向けスペックで、ベンチレーテッド・ディスクに前6ポット/後4ポットのキャリパーを組み合わせたシステムだ。



電気系は、ラリー用に信頼性を極限まで引き上げたモータースポーツ用ECUを1基のみ用いて制御。プログラムは社内開発のレース用で、ジャンプ・スポットに対応する“フライト・モード”が新たに用意された。トルク伝達を自動調整し、スムーズな着地と駆動系の保護に寄与するセッティングだ。

車内には、FIA規定のナビゲーションシステムや、ドライバー用のヘッドアップ・ディスプレイを設置。6点ハーネス対応のシートは、長距離のドライビングを楽に行えるよう、快適性を最大限まで高めた。



ドライバーは8リットルの水を携帯し、後席に相当するスペースには3本のスペア・タイヤをはじめ、工具や圧縮空気、重要なスペアパーツを積む。油圧ジャッキは両側から車体を持ち上げるため、1対組み込まれている。

初陣は2026年のダカール・ラリーで、以降もW2RCを転戦する。正月3日から2週間で80時間以上、およそ5000kmの走りに臨むドライバー/コ・ドライバーは3組で、筆頭はダカールのレジェンド、ステファン・ペテランセルだ。



世界でもっともタフなラリーに挑む、世界屈指のタフさを誇るクロカン四駆の戦いぶりに注目したい。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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