東京オリンピックを控えて日本文化が注目されるなか、巷はちょっとした茶の湯ブーム。東京・青山には“茶事(ちゃじ)”のダイジェスト版を楽しめる画期的な店がオープンした。その店『即今(そっこん) 』の主人である宇田川宗光氏は、金森宗和を祖とする茶道宗和流の18代目。だが、店では敢えて流儀を前面に出さず、作法や経験の垣根を超えて皆が気軽に集えるようにしている。
宇田川氏に理由を尋ねれば、「茶道は本来、お客様を招き、お茶をふるまってコミュニケーションを楽しむもの。最近は「お稽古」がメインになってしまっていますが、本来の楽しさを知ってほしいと思ったんです」とのこと。
そもそも“茶事”は、茶人が催す少人数制のクローズドな茶会。茶道を嗜んでいなければ縁がないものだが、“茶事”には主人が趣向を凝らした茶室のしつらえから、懐石料理、お酒、濃茶、薄茶まで、茶の湯の魅力が凝縮されている。一方、着物での長時間の正座など、ハードルの高い側面があるのも事実。そんな“茶事”から楽しいエッセンスだけを取り出してアレンジしたのが、『即今』の3種類のコース(6000円〜/要予約)だ。
たとえば1万2000円の「即今」は、実際の“茶事”で場所や雰囲気を変えながら懐石料理と濃茶、薄茶を楽しむように、店内の茶室を移りながら薄茶、懐石料理、お酒を楽しむフルコース。まずは小間で薄茶とお菓子を楽しみ、広間「爤酔(らんすい) 亭」 では茶懐石形式での料理を味わう。テーブルを囲む全員が同じ盃で酒を酌み交わす「千鳥の盃」を追加することも。食後に小間「笊籬(そうり) 菴」に移ると、座敷の奥の襖が開いてバックバーとバーテンダーが現れ、お茶の点前のような「カクテル点前」を披露してくれる。
店内の3室の茶室は、いずれも足をおろせる現代的な造りゆえ、正座が苦手でも心配は無用。一方、しつらえは本格的で、三畳台目の小間「即今」には大徳寺真珠庵の古材が用いられていたりする。予約せずに当日ふらりと訪れる場合は、薄茶と主菓子(おもがし)の「一服セット」や酒肴の「一献セット」(各3000円)、アラカルトが楽しめ、バーとしても利用可能。茶の湯のフィルターを通した、唯一無二のレストラン&カフェ&バーだ。
◆SHOPDATA◆
文=小松めぐみ(フードライター)写真=田村浩章
(ENGINE2019年6月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2024.05.06
LIFESTYLE
レコードバーって知ってますか? アナログ・レコードを聴きながらお酒…
2024.05.03
CARS
【エンジン音付き!】新型フェラーリ発表! その名も「12チリンドリ…
PR | 2024.05.07
WATCHES
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」2024年春の新作 …
2024.04.25
LIFESTYLE
McLaren Artura Spider × LANVIN CO…
2024.05.05
LIFESTYLE
著名な陶芸家がかつて住んだ朽ちかけた古民家をリノベーション 古道具…
2024.05.01
CARS
なんてお洒落な! 新車同然(いや新車以上!)の190SLと280S…
advertisement
2024.05.10
「なるほどアメリカで売れるワケだ」 ホンダのフラッグシップ・セダン、新型アコードにモータージャーナリストの国沢光宏が試乗!
2024.05.09
普通の人がファミリーカーとしてBMWを買うならこっち! BMW X1のディーゼル・モデルにモータージャーナリストの森口将之が試乗! 贅が尽くされている
2024.05.12
「走ることが大好きなクルマ通からすれば、正真正銘の天国」 モータージャーナリストの国沢光宏がポルシェ911GT3 RSほか5台の輸入車に試乗!
2024.05.12
釣りも潜りも焚き火もやる人にはこの時計がおすすめ! タグ・ホイヤー アクアレーサー 300m防水でGMTは最強旅時計!
2024.05.08
メルセデス・ベンツはこの顔じゃないと! EQSが伝統の横基調グリルを採用するマイナーチェンジを実施