2020.01.03

LIFESTYLE

敷地の半分が急傾斜!? 不動産屋が「手を出すな」と言うほど難易度が高い坂の上の土地でスポーツカーと暮らす!


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迷っていると、RX- 7での失敗を傍で見ていた奥様が、「悩んでいないで決断し、早く楽しんだ方が良いのでは」「先にスーパーセブンに乗って、体力的にきつくなったらエリーゼにしたら」と、背中を押してくれたのである。スポーツカー2台に、普段使いのクルマを含めると、合計3台の生活となるが、「夫の趣味を妨げる理由は何も無い」と、極めて協力的だった。

細身のスーパーセブンには、「痩せないと乗れない」ので、Kさんは普段から自転車に乗って体を絞り、オーダーしてから待つこと1年余。去る3月にスーパーセブン(ケータハム・セブン270S/2019年型)はやってきた。以来週末は、暇さえあれば乗っているそうで、なんと走行距離は7カ月で8000キロに。奥様を隣に乗せて朝早く出発し、房総半島まで美味しい魚を食べに行ったこともあるそうだ。もっともスーパーセブンが来てから、自転車に乗らなくなって体重が元に戻ったことと、RX- 8で出かける機会が減ったことが新しい悩みだとか。

さて、K邸の家作りは、合理的な奥様が中心となって進められた。仕事がプロダクト・マネージメントということで、段取り等はお手のもの。住み方に関する優先順位も、絶対に譲れないもの、場合によっては譲歩できるもの、どちらでもよいものなどと明確にし、決めていったもちろん家づくりでの最優先事項は、オープンカーを含めたクルマ2台分の駐車場。続いて、大量の本を収納できるスペースと、二人のお子さんにそれぞれの部屋を用意することであった。

広々とした2階のリビングダイニング。写真左手の東側は隣家が迫っているので、窓は小さい。逆に西側の隣家は斜面の下なので、大きな開口部を設けることができた。

設計を納谷さんたちに依頼したのも、奥様が建築雑誌とネットを調べて。設計スタイルが好みなうえ、なにより「楽しそうな暮らしがおくれそう」だったのだ。納谷さん達は斜面を上手く利用し、4層の家を設計した。1階はビルトイン・ガレージを含めても40平方メートルほどしか利用できない土地だが、割り切って玄関と水回りのみに。その上に張り出す形の2階は、リビングダイニングとキッチン。西側の隣家は斜面の下なので、リビングに設けた大きな窓から十分な光が入ってくるうえ見晴らしが良く、プライバシーも確保できる。さらに、キッチンとの境を設けず吹抜けにしたことで、開放感は相当なものとなった。リビングの東側の壁には、本棚とワークスペースを配した。そして螺旋階段を昇った3階は、二人のお子さんの個室。主寝室は路面より低い階だが、斜面を利用し光が入るようになっている。Kさんは車庫さえあれば満足だったが、玄関ホールからガレージが眺められる予想外のサプライズもあった。


聞けば、普段家に居る時のKさんの定位置は、広いリビングのソファだとか。なんといってもそこは、この家の特等席。本当に気持ちの良い場所だ。クルマ中心のようでいてK邸は、奥様が予感したように、楽しい暮らしをおくれる家となったのは間違いないだろう。



■建築家:納谷学 1961年生れ、納谷新:1966年生れ 秋田県出身。兄弟で活動。共に芝浦工業大学を卒業。兄は黒川雅之、弟は山本理顕の事務所などを経て、共同で事務所を設立。K邸は兄の学が担当した。住宅設計が多いが、写真の尼崎パーキングエリアのような大きな施設を手掛けることも。弟はハーレーに乗るバイク党。

文=ジョー スズキ 写真=鈴木 勝

(ENGINE2020年2月号)

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