3月に取材した「シチリアドライブ」に続く“大人の遊び方”シリーズ2回目は、イタリア・ミラノから北へ向かい、標高2000mを超えるアルプスの峠をドライブした。
[ドライブコース]◇SS38 Trafoi(トラフォイ)→Passo dello Stelvio(ステルヴィオ峠)/14km・約26分 ◇SS38 ステルヴィオ峠→Swiss・Umbrailpass(ウンブライルパス) Santa Maria Val Müstair(サンタ・マリア・ヴァル・ミュシュタイアー)/16km・約25分
9月中旬、F1イタリア・グランプリ決勝の日のモンツァ・サーキットは晴れ。しかし、モンツァから北東へ直線距離で約130kmにあるステルヴィオ峠は大雪が降ったらしく、Googleマップを見ると付近の道の多くは通行止めになっていた。
3日後、通行止めが解除されはじめていることを確認し、ステルヴィオ峠へ向かう。日本では国道にあたるSS38の小さな集落トラフォイの近くになると、切り立った山々がぐっと近づいてくる。すぐに上り坂の180度カーブの連続が始まる。高速で走ってくるバイクや自転車も多く、初めてステルヴィオ峠を走る私にとっては景観を楽しむどころではない。
でも、心強い味方が。今回FCAミラノで借りた広報車は、ステルヴィオ・ターボディーゼルQ4。この峠の名を冠したアルファ・ロメオのSUVだ。やはり峠に強い。電子制御の4輪駆動システムは、急傾斜のカーブでも、しっかり4輪で地面を捉えるから安心感がある。さらにドライブモードをD(ダイナミック)に入れると、ハンドリングもアクセルの反応も一段とシャープになり、自分のイメージ通りにカーブに切り込んでいくことができた。
途中、道路脇に雪をよせる除雪車と出会ったが、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、マスタングなどともすれ違った。ポルシェ・ボクスターが連なって走っていたり、やたらとオープンカー率が高い。スノーモービルを牽引する、同じブルーのアルファ・ロメオ・ステルヴィオにも出会った。そう、ここはクルマ好きにとっての“聖地”だったのだ。
無事にステルヴィオ峠の頂上に到着した。標高2757m。雪をまとったアルプスの山々が出迎えてくれた。絶景に息を飲むが、空気が薄いのか、少し意識がぼんやりしてきた。
頂上を越えて麓へ降りるには、そのままSS38を走ればいいのだが、この日は雪のため通行止め。ミラノ方面へは少し遠回りだが、もう一本の道、スイス側のウンブライルパスを走ることにした。ステルヴィオ峠より緩やかなカーブで、下り坂なこともあって余裕をもってドライブを楽しめた。
文=山元琢治(ENGINE本誌) 写真=増田岳二
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