ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
クルマ好きの友人を食いつかせてその気にさせられる魅力を持つモデル、ということでしょうか。その魅力の中身は豪快な加速やどこまでも走りたくなる快適性、あるいは単なる知的好奇心など人によって様々でも、好き者同士ならばきっと頷いてくれるはず。退屈でなければ普通でもいいんです。それにしても20年間にリストがそれほど入れ替わっていないことに妙に納得しました。
20年どころかそろそろ60年もこの種のリストの上位を占めていることに素直に感服する。変わらない価値を時代に合わせて磨き続けるその姿勢には感心せざるを得ない。不易流行のお手本。できれば小さめボディのほうが好ましい。
一見奇妙なスタイルと奇抜な4WDシステムに驚かされるが、乗れば12気筒の真髄を味わえる第一級のグランドツアラー。爆発力なら最新最強の812スーパーファストを推すが、ルッソのほうが馥郁たるV12をしみじみ感じながら遠くまで行ける。
正統派後輪駆動スポーツカーの代表は一筋縄ではいかない英国の強かさを感じさせる。野蛮さとエレガンスが共存している稀な例。自然吸気V12を積むヴァンテージSはさらに剽悍、暴力的なパワーを抑えつける剛腕が必要だ。
ありそうでなかったジャンルを開拓した現代のA110。オリジナルモデルに憧れを抱くオヤジたちも納得の出来ばえ。日常的実用性も問題なし。
理知的に速さを突き詰める新世代のロードゴーイング・マクラーレンの嚆矢。公道でレーシングカーに乗る感覚、目一杯踏むにはサーキットへ。
高性能化して高価になった911に比べてコンパクトでアフォーダブル、しかも完成度高し。現行4気筒ターボは燃費はいいががさつでラフなので。
実直にして質実剛健を絵に描いたようなコンパクトハッチ。とりわけGTIは小気味よく、スタビリティ抜群。やはり小型車こそVWの十八番だ。
コンパクトサイズの後輪駆動車は貴重な存在。涼やかな軽快感と上質な走行感覚のバランスは見事だ。足に使うならディーゼルターボも魅力的。
コンパクトハッチのベンチマークとして長くその座を守り続けているだけで偉業だ。ただし近年モデルチェンジ毎の伸びしろが小さくなったか?
数多くのフォロワーを生んだが、デビューから30年余りを生き延びたのはロードスターだけ。簡潔軽量2シーターの偉大なお手本。
走ればびっくりするほど上質。素晴らしくビビッドなハンドリングとたおやかな洗練された乗り心地を備えた隠れたクーペの名作。
アウディの真髄はイケメンエリート風デザインよりも精緻なエンジニアリングにある。今年40周年を迎えたクワトロの正統派モデル。
官能的なほどにラグジュアリーで快適。しかも続々と先進的なパワートレインや安全装備が投入され続けている。これぞSクラス。
この20年間でトヨタで最も価値ある製品といえばやはりプリウス。だがその功績が大きすぎたおかげでハイブリッド以外が手薄になったか。
走る舞台を選ばない万能クルーザー。驚異的な走破性と洗練度は数多のSUVとは今なお別次元。
レトロものの数少ない成功例。しかも最近の方が日本での販売台数は多いのだから驚きだ。
オールアルミ・ボディを採用した最後の3ボックスXJ。洗練された乗り心地はジャガーの面目躍如。
18位 シトロエンC3(3代目)
“ゆるふわ”ちゃんに見えて芯はしっかり。ユニークな見た目だけでなく飛ばしても楽しい。
なぜかクライスラーのブランドで発売された不憫なランチア。他に例のない小粋な実用ハッチ。
力ずくで高性能を追求したひとつの究極のかたち。ただしロードカーとしての欠点は多い。
文=高平高輝(モータージャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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