これまで海外ではさほど知られていなかった日本の家具。それがここ数年、急激に注目され始めている。その理由とは?
日本を感じさせるデザインのモダンな家具が欧米で評価され始めている。これまで日本の家具が欧米に輸出されることは稀だった。そもそも欧米の椅子やソファーにはそれぞれの国の文化を反映した独自の形が存在するうえ、距離があるので輸送費が嵩む。そのため家具の輸出は限られていたのだ。
こうした流れを、2010年代になってマルニ木工が変えた。まずは深澤直人、ジャスパー・モリソン(英国人)といった著名なデザイナーの起用で国際的に認知度がアップ。続いて生産の合理化により、価格面でも競争ができるように。さらに2017年、米国のアップル本社に数千脚も採用されたニュースが、大きな追い風となった。今ではマルニ木工の海外売り上げは全体の10%にもなり、ミラノサローネなど国際見本市でも重要なブースが与えられるようになっている。もっともマルニの家具では、日本企業のモノ作りのレベルの高さは評価されているものの、デザインはアノニマスなもので、けして日本的とはいえない。
それがここにきて、さらに変化が起きている。日本の伝統意匠に縁を感じさせるデザインのカリモクケーススタディ(カリモク家具)の家具が、海外メディアで盛んに取り上げられているのだ。日本人と親日家のデンマーク人の建築家が、日本の住宅などの空間に合うようにデザインした同コレクションの家具は、これまでの国産家具とは発想が大きく異なるもの。それでいて、意外と北欧建築にもマッチしているのが興味深い。
タイムアンドスタイルも、数年前から日本の伝統的な技術・意匠の家具に取り組んできた。なかでも特徴的なのがキャビネットだ。その個性がイタリアの大手家具ブランドの目に留まり、Time & Style editionという名前の新コレクションが誕生した。既に海外にある同ブランドの店舗に並んでいるという。
これまで海外デザインの模倣も多かった日本の家具業界。そんな中で、自国の文化にデザインのルーツを持つブランドが増えているのはあるべき姿だと思う。しかも国際的に評価されているのは、嬉しいことだ。
文=ジョースズキ(デザイン・プロデューサー)
(ENGINE2021年5月号)
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