2025.10.25

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時計の「日差」とは?高級時計や機械式時計のスペックに表記されている言葉の意味を解説

高級時計のカタログなどに書かれている「日差」とは?

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高級時計に多く使われている機械式ムーブメントは、ズレが生じることが多い。このズレは「日差」という形で表記される。では、高級時計や機械式時計のカタログなどに表記されている「日差」とはどのような意味なのだろうか。

日差は1日(24時間)でどのくらい進んだり遅れたりするのかを意味する

高級時計や機械式時計のカタログのスペック欄で見かけることがある「日差」とは、文字通り1日(24時間)あたりのズレ(差)の範囲を示すものだ。この「日差」が小さいほど時計の精度が高い(ズレにくい)ということになる。



例えば、機械式時計のカタログに日差-5秒〜+10秒と表記されている時計があるとする。この時計の場合、1日あたり平均5秒遅れ〜10秒進みが許容範囲であることを意味している。

そのため、日によってマイナス方向にズレたり、プラス方向にズレたりすることがあるということだ。このズレがマイナスまたはプラスのどちらに発生するかは、気温といった外的要因や時計を着用しているときにいる環境や姿勢などによって異なる。

一般的な機械式時計の日差はどのくらい?

機械式時計の日差は、ムーブメントによって異なるため、一概にマイナス何秒〜プラス何秒が平均的な日差と断言することはできない。が、一般的に-10秒〜+20秒が機械式時計の日差(精度)と言われている。なお、ヴィンテージ時計については、1日あたり(日差)60秒ほどズレであれば許容範囲とされている。



近年の高級時計のムーブメントは、日差-2秒〜+2秒、日差0秒〜+5秒など、一般的な機械式時計の精度よりも高精度な時計が多い。そのため、1週間以上時刻調整をしなくてもズレがほとんど気にならないということもある。

また、機械式時計の中には、「クロノメーター(COSC)認証」や「マスタークロノメーター(METAS)認証」と表記されている時計がある。これらは、精度に関するテストに合格し、一定の基準を満たした時計にのみ与えられる認証だ。

高精度であることを認める「クロノメーター」や「マスタークロノメーター」とは?

スイス製の時計には、「クロノメーター(COSC)認証」や「マスタークロノメーター(METAS)認証」と表記されているモデルがある。

これは、時計の精度に関するテストに合格し、一定の基準を満たしている時計であることを意味している。



クロノメーター(COSC)は、厳しい環境のもと、15日間に渡り、5つの姿勢と3つの異なる温度下で検査が行われる。その精度は、平均日差-4秒〜+6秒以内(ムーブメントが2cm以下の場合は-5秒〜+8秒以内)だ。

マスタークロノメーター(METAS)は、精度、耐磁性、防水性、パワーリザーブなど、10日以上におよぶ8つのテストが行われる。

ただし、マスタークロノメーターのテストを受けるためには、クロノメーターの認証を受ける必要がある。そのため、マスタークロノメーターは、クロノメーターよりも厳しい基準が設けられている。

その精度は、ケーシングされた時計の平均日差が5秒以内(0秒〜+5秒)でなければならないというものだ。



また、1万5000ガウスもの磁場にも耐えられることもマスタークロノメーター認証の特徴だ。ちなみに、1万5000ガウスがどのくらいなのかというと、MRIのような強い磁場を発生する装置にも耐えられるレベル。つまり、携帯電話やノートパソコンなど、日常的に触れる電化製品の磁場の影響をほとんど受けないほどの耐磁性だ。

機械式時計の精度や耐磁性などを気にするのであれば、クロノメーター(COSC)認証やマスタークロノメーター(METAS)認証の時計、または、これらと同等レベルの独自規格やテストをクリアした時計を選ぶと安心だろう。

文=齊藤優太(ENGINE編集部)

(ENGINE Webオリジナル)

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