フランスのプレミアム・ブランド、DSオートモビルズが「DS7」の後継モデルとなる「DS N°7(ナンバー・セブン)」を発表した。2014年のブランド創設以来、初めて既存モデルを完全に刷新するという節目の一台だ。
エンジン搭載モデルもある! 次世代の仏製プレミアムSUVの実力とは?
「DS N°7」は先代の「DS7」からあらゆる面で進化を遂げている。内外装のスタイリングはまさにDSらしさの光るアヴァンギャルドなものだ。

エクステリアのシャープかつ特徴的なLEDの配光をはじめ、DSオートモビルズのいまの顔である光のストライプによる縦グリル。

4本のスポークが特徴的なステアリング・ホイール、ベルト・パターンのシートなど、従来のブランド・イメージを踏襲しながら、よりゴージャスな雰囲気へと仕立てられている。

車体サイズは「DS7」比で全長が4660mmと約70mm延長され、うち50mmをホイールベースの拡大に充てている。その結果、軸距は2790mmに。ただし全幅1900mm、全高1630mmは据え置きなので、扱いやすさは実質同等だろう。

いっぽう後席ドアを拡大したことでサイド・ウィンドウ面積は30%増え、リアの開放感が増している。荷室容量は最大560リットルを確保した。

技術面での最大の転換点は、プラットフォームの刷新だ。先代の「DS7」が採用していたステランティス・グループのEMP2プラットフォームに代わり「DS N°7」は最新のステラ・ミディアム・プラットフォームへと移行。このアーキテクチャーはプジョーE-3008/E-5008、シトロエンC5エアクロス、そして上位モデルの「DS N°8」とも共有するマルチ・エネルギー対応型で、マイルド・ハイブリッドから完全電動まで幅広いパワートレイン搭載を可能にしている。
パワートレインはまず純電気仕様の「E-テンス」は、前輪駆動の「FWD(230馬力)」、大容量バッテリーを搭載した「FWDロング・レンジ(245馬力)」、4輪駆動の「AWDロング・レンジ(350馬力)という3本立てだ。この中で「FWDロング・レンジ」はWLTPモードで最大740kmという航続距離をマークする。搭載するバッテリーの容量97.2kWh。急速充電は160kWに対応で、20→80%の充電は27分で完了。10分の充電で約190kmの航続距離を回復できるのも実用的だ。

さらにいまのところ電気自動車バージョンしか存在しない「DS N°8」と異なり、1.2リットル直列3気筒ターボ・エンジンにモーターを組み合わせ、6段デュアル・クラッチ式自動MTを介して前輪を駆動するマイルド・ハイブリッドも設定がある。これはスペック的にはすでに上陸している「プジョー3008」や「5008」と同一のようだ。

生産拠点はフランスでなくイタリア。先代「DS7」はフランス・アルザス地方のムールーズ工場で製造されていたが、「DS N°7」は「DS N°8」と同様に、南部バジリカータ州のメルフィ工場で最終組み立てが行われる。ただしバッテリーはフランス北部のビリー・ベルクローのACCギガファクトリー産、電動モーターはフランス東部で製造と、主要ユニットの仏国内調達は維持されており“フレンチ・プレミアム”としてのアイデンティティを保ちつつ、欧州内での生産分業を明確にした形だ。
装備面での注目は、カメラで路面を先読みして各ショック・アブソーバーを個別に制御するDSアクティブ・スキャン・サスペンションで、先代「DS7」でも評価が高かったこのシステムをさらにアップデートした。乗り心地と走りのバランスを両立させるDSの根幹技術として位置づけられている。

ドライバー支援ではDSドライブ・アシスト2.0がレベル2相当の自動運転機能を担う。インフォテインメントはDSアイリス・システム2.0を採用し、ChatGPTを組み込んだ自然な会話型の音声操作に対応した。16インチの中央のタッチ・スクリーンと10インチのデジタル・クラスターに加え、フランス製プレミアム・オーディオのフォーカルが手がける14スピーカー・システムも選択可能だ。またDSナイト・ビジョン(前方300mの歩行者・動物を赤外線で検知)は、このセグメントではDSが唯一の装着車だという。
フランスではすでに「DS N°7 E-テンス FWD エトワール・ライン・ビジネス」の先行受注を6万4200ユーロ(約1180万円)で開始。まず法人向けに先行展開し、その後フルラインナップを一般向けにも展開する。

日本市場への導入などについては未定。ただし旗艦サルーンの「DS N°8」についてはまもなく正式販売と噂されており、ハッチバックの「DS N°4」もすでに2026年の東京オートサロンで輸入元のステランティス・ジャパンが上陸を明言している。より一般的に人気の高い大型SUVの「DS N°7」が上陸しないということは、おそらくないだろう。ただしかなり従来の「DS 7」に比べて上級移行した価格設定をどう考えるか。DSというブランドをどう位置づけ、どんなオーナー像を描いていくのか。輸入元の手腕が問われるところである。
文=ENGINE編集部
(ENGINE Webオリジナル)