2020.04.12

LIFESTYLE

東京湾を一望する眺めに息を呑む! 人気エリアの房総に建つ絶景ハウス 狭い急坂を登りつめた買い手の付かない広大な敷地が、独創的な家があるプライベートな空間に生まれ変わった!

東京湾に沈む夕陽をリビングから眺める絶景別荘!

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、千葉県富津に建てられた別荘。トヨタWiLL VSに乗るオーナーのお気に入りは、東京湾に沈む夕陽をリビングから眺めることだった。デザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

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リビングから眺める東京湾に沈む夕陽

PQさん(70代)の別荘は、リビングから東京湾に太陽が沈んでいく様子が眺められる立地だ。もちろん一面を窓としたのは、この特別な景色を楽しむためである。別荘があるのは、内房の富津市。写真の左手に、うっすらと房総半島が見える。天気の良い日は、対岸の三浦半島はもちろん、遠くに富士山まで望めるとか。窓の高いところは6m近いが、単に窓を大きくするのではなく、変化を持たせることで、効果的に景色が切り取られるよう工夫がされている。しかも、近隣の民家やマンションが視野に入らないよう配慮された設計なので、覗かれる心配もない。バスタブに浸かりながら、気兼ねなく夕陽を楽しむことも可能だ。会社員だったPQさんは10年前にリタイヤし、時折訪れる別荘でこうした時間を楽しんでいる。

海からほど近い小高い丘の上にあるPQさんの別荘。写真を撮っている場所はもちろん、見える範囲は殆ど敷地である。周りから覗かれる心配は無い。西が海で東に丘が迫り、その間の狭い土地に、対面通行の細い道路が一本あるだけのこのエリアは、子供の頃に親に連れられて訪れた葉山に似ているとか。この場所を気に入った理由のひとつだ。

さて、敷地は海岸から200mほど離れた小高い丘の上にある。古くから絶景の土地として知られていたようで、かつては立派な武家屋敷が建っていた。いくらでも土地がある時代にわざわざここを選ぶとは、よほどのこだわりがあったのだろう。庭には当時を偲ばせる大きな庭石が残っている。しかも戦後この土地を管理していたのが、日本の多くの一等地や名建築を手に入れたGHQ関係の不動産会社だ。折り紙付きの土地である。ところが長いこと買い手がつかないでいた。クルマがやっと通れる幅の急坂しかアクセスの無い大きな敷地は、一人のオーナーが別荘にする以外方法が無かったのだ。

こうした周囲から閉ざされた土地である。どんな家を建てても近所への気兼ねは不要だ。PQさんは建築家に個性的であることを強く要望し、この別荘は生まれた。設計は小誌でもお馴染みの廣部剛司さん。ネットで調べたところ、幾何学的な意匠の海辺の別荘が目に留まり、依頼をしたのである。実は建築や芸術にも造詣の深い建て主。世間一般の正統派のスタイルとは異なる、独自の美意識を持っている。誤解を恐れず簡潔に表現すると、「奇抜で少々グロテスクなものに惹かれる」となるのだろうか。それはクルマ選びを見ても分かるだろう。

現在のクルマは、17年間乗り続けたトヨタのWiLL VS(2002年型)だ。WiLLは、トヨタの他に花王やアサヒビールなど、日本の大手企業数社が共同して99年に立ち上げた冒険的なプロジェクトである。トヨタは第1弾として、カボチャの馬車を思わせるWiLL Viを発表。WiLL VSはそれに続く第2弾だ。PQさんは、このクルマのリアゲート中央に入ったプレスラインに、得も言われぬ魅力を感じるのだという。「WiLL VSは若者向けのデザインのように思われていますが、ディーラーで聞いたところ、意外と私のようなベビー・ブーマー世代が買っていたようです。斬新なデザインなので、当時は鉄仮面のようだとか、バットマン・カーだとか色々と言われたものです。ですがVS以前、こうした形のクルマは存在しませんでした。それがこの後には続々と登場しています。私は、そうした時代の転換点となるデザインに興味があるのです」

シナ合板を使った内部空間も、チャレンジングな構造になっている。

言われてみると、たしかにそうだ。そして2年前にPQさんのもとにやってきたトヨタC-HRも、近年のトヨタ車のデザインを方向付けたクルマである。

WiLL VSは、最初の8年間は片道10キロの通勤にも使い、リタイヤしてからも別荘行きやゴルフにと、生活に欠かせない。現在、走行距離は22万キロに達している。もちろん、デザイン以外に走りも気に入っており、できればずっと所有していたいと考えているそうだ。

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