2020.04.12

LIFESTYLE

東京湾を一望する眺めに息を呑む! 人気エリアの房総に建つ絶景ハウス 狭い急坂を登りつめた買い手の付かない広大な敷地が、独創的な家があるプライベートな空間に生まれ変わった!

東京湾に沈む夕陽をリビングから眺める絶景別荘!

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個性的だが贅沢ではない

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因みにそれ以前のクルマも、アンフィニMS-8やカペラ・カーゴなど、独創的な国産車ばかり。少々意外に思えるが、「外車に乗っているのは、どこか気恥ずかしい」らしい。「個性的だが贅沢でないもの」が好みなのだ。

こうした哲学は、別荘の設計の際にもぶれることはなかった。「個性的な別荘に」との要求に、廣部さんは意欲的な設計で応えている。四角い箱型の建物ではなく、壁も各部屋の床の形も、三角形を幾つも組み合わせたデザインにしたのだ。この手法であれば、見たことのないような空間が出来上がるうえ、それぞれの部屋も必要最小限の広さで済む。また、どの部屋からも海と夕陽が望める、弧を描いた構成も可能だ。

別荘までは、都心の住まいからクルマで1時間強の距離。この地での予期せぬ喜びは、星空も美しいこと。この時期は、天の川が真上に来る。逆に予想外だったのは、砂地のため庭造りが難しいこと。現在、アーモンドや、ベイリーフ、ローズマリー、パンパスグラスを育てている。

外観も、上写真の中央から突き出している三角形の壁が大きなポイントとなっている。この壁によって、来訪者は玄関に導かれるのだ。しかもこの壁のトップのラインは、屋根に到達してからも、ジグザグのラインを描いている。この独創的な建物を実現するため、施工は技能オリンピックで優勝した技術力のある棟梁が担当した。

また、クルマと同様、PQさんは形には拘ったが、贅沢さは求めなかった。そのため外装は安価なガルバリウムに塗装したシンプルなもの。内装もシナ合板を使ったが、合板と合板の継ぎ目に目地が無い、凝った仕上げとなっている。これに対応したのも、前述の棟梁だ。

こうして完成した別荘は、日本だけでなく数多くの海外メディアにも取り上げられた。南米のSNSが、リビングの向こうに夕陽が沈む写真を紹介した折、何千もの「いいね」が付いたことも。この地球上で絶景の地に建つ、このようなデザインの建築は、そう多くないのだろう。いずれこの別荘は、クルマ同様PQさんが求めたような「時代を体現する建物」と評価されるのかもしれない。

文=ジョー スズキ 写真=山下亮一

 ■建築家:廣部剛司 1968年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、芦原建築設計研究所に勤務し、その後独立。国際的には海辺の別荘で知られるが、中庭のある都市型住宅も得意とする。小誌に度々登場。写真は2016年3月号で紹介した海辺の別荘。アルファロメオ・スパイダー・ベローチェとシトロエンC3に乗るイタフラ車好きとしても有名。著書に『サイドウェイ建築への旅』、『世界の美しい住宅』がある。

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(ENGINE2020年3月号)

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