"ホットハッチ"という言葉が、クルマ好きの若者の間で、ある種の羨望と情熱を持って語られていたのはいつ頃までだろうか。新しいメルセデスAMG A45とCLA45に試乗するために富士スピードウェイに赴いて、ふとそんな思いが頭をよぎった。
というのも、ピット・ロードに並んだ日本上陸ホヤホヤでまだナンバーも付いていないサンイエローの特別色を纏ったA45S 4マチック エディション1の姿を目の当たりにして、これはもう"ホットハッチ"と呼ぶにはあまりにも突き抜けたところにいるハイパフォーマンス・マシンであることが見て取れたからだ。
ボンネットを開けると、そこに押し込められているのは、ワン・マン・ワン・エンジン方式に則って一人のエンジニアによって手組みされた完全新設計の2ℓ直4ターボのM139ユニットだ。先代のM133がフロント側にタービンを搭載していたのに対し、これはファイアー・ウォール側に搭載する。そのおかげでエンジンの搭載位置を下げ、操縦性能と空力を改善できたという。
さらに、F1エンジンにも使われる特殊なコーティングをシリンダーライナーに施したり、ターボチャージャーのコンプレッサーとタービンのシャフトにローラーべアリングを採用するなどして、まるでレーシング・エンジンのように徹底的にチューニングしてある。その結果、量産直4エンジンとしては世界一の421psの最高出力と51.0kgmの最大トルクを誇っているのみならず、自然吸気エンジンのような吹け上がりの良さを実現することができたというのである。
むろん、このエンジンのパワーを支えるため、エンジン・ルーム内にアルミニウム・プレートやストラット・タワーバーが追加されているのを始め、ボディ各所に徹底的な補強が施されている。サスペンションも ブレーキもノーマルとは別モノだ。
さらに、リアには巨大なルーフスポイラーやバンパー下部の専用ディフューザーが装備されているのを見れば、ただモノではないのは明らかだ。
いったい、どんな強烈な走りっぷ りを見せてくれるのだろうか。






ところが、いざ走らせてみると、これが驚くほどにマナーが良く、誰が運転してもあるレベルまでは確実に気持ちよく速く走れるに違いないと確信できるような運転のしやすさを持っているから、呆気にとられて しまったのである。とにかく、速い。そして、良く曲がるし、良く止まる。
ドライブ・モードを変えることで、すべての車両特性をスポーツ、スポーツ・プラス、レース、さらにはESPスポーツ・ハンドリング、ESPオフと、よりアグレッシブな設定にできるが、ESPオフにしない限りはどれを選んでも、かなりの領域まで安定した走りを保っている。
たとえば、富士の最終セクションの上りで、リアを気持ちよく流しながら向きを変えて走るような領域まで持っていくには、かなり頑張らなければならない。そして、どうやら その領域から先に、まだまだ広大な世界が開けていることが予感される。そういう格段に高いレベルを持った ドライビング・マシンなのである。
同じエンジンを搭載するCLA45Sにも試乗したが、こちらはA45に比べると足まわりがソフトでボディ剛性も低いのか、お尻がブレークするのがやや早かった。もっとも、それはあくまで比較の問題で、多くの市販スポーツカー顔負けのパフォーマンスを持っているのは間違いない。
かつて私がこの富士でレースをしていた頃のVWゴルフGTI(V型)がホットハッチの代表選手なら、A45はもはやスーパーハッチとでも言うべき高みにいる。脱帽である。


◼︎メルセデスAMG A45 S 4MATIC+(エディション1)
駆動方式 エンジン・フロント横置き4WD
全長×全幅×全高 4445×1850×1412mm
ホイールベース 2729mm
車両重量 未発表
エンジン形式 直噴直列4気筒DOHCターボ
排気量 1991cc
ボア×ストローク 83.0×92.0mm
最高出力 421ps/6750rpm
最大トルク 51.0kgm/5000-5250rpm
トランスミッション 8段自動マニュアル(DCT)
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ (前後) 通気冷却式ディス
タイヤ (前後) 245/35R19
車両本体価格(税込み) 790万円( 919万円)
文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=メルセデス・ベンツ日本
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