スポーツは時計の機能やデザインの発展に大きく影響を与えてきた。よく知られるのは、競技のタイム計測に用いられたクロノグラフ機能だ。ストップウォッチ機能を併せ持つクロノグラフは、各種競技からモータースポーツ、航空宇宙の分野まで活躍し、今なおスポーツ・ウォッチの花形として人気の的だ。時計好きにはクロノグラフ特有のデザインを愛好する者も少なくないが、肝心の機能はふだん使わないという人がほとんど。ならば、今年のスポーツ観戦こそが絶好のチャンス。自身でクロノグラフを操作して計時を楽しむのも一興だ。復刻あり、定番あり、先進デザインありと、クロノグラフはモデルが豊富だから、好みの1本をコレクションに加えるのもいい。
1964年に開発された国産初の腕時計クロノグラフ「クラウン クロノグラフ」を再現し、現代の技術で随所をグレードアップ。垂直クラッチやコラムホイールを採用する最新ムーブメントと、ヴィンテージの味わいが同時に楽しめる。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径42.3㎜、10気圧防水。1000本限定。税別35万円。
1969年に世界初の自動巻きクロノグラフの一つを開発したのが日本のセイコーだ。50周年記念モデルは、垂直クラッチやコラムホイールを採用する当時のモデルの通称「パンダ」ダイアルを現代的にアレンジ。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径41㎜、10気圧防水。1000本限定。税別38万円。
誕生から15年になる「ビッグ・バン」で初めてケースと統合したインテグレーテッド メタル ブレスレットを装備。同時にケースも再設計され、一体感をスタイリッシュに強調したものに。チタンの軽快な着け心地も秀逸だ。自動巻き、約72時間パワーリザーブ。ケース直径42㎜、10気圧防水。税別予価222万円。5月発売予定。
昨年、名機キャリバー321の復活が注目を浴びたオメガ。そのプラチナに続いて待望のステンレススティール製が登場した。1965年に宇宙遊泳をした最初のアメリカ人エド・ホワイトが着用した「スピードマスター」から着想したデザインも見所だ。手巻き。ステンレススティール、ケース直径39.7㎜、50m防水。税別予価151万円。
人気の「タグ・ホイヤー カレラ」にブラックMOP(マザー・オブ・パール)のダイアルを配した日本限定モデルが登場。角度によって表情を変える美しい虹彩がなんとも上品でクール。着けやすい41㎜ケース、性能に定評のあるキャリバー16も日常づかいに最適だ。自動巻き。ステンレススティール、10気圧防水。税別予価50万5000円。4月発売予定。
文=菅原 茂
(ENGINE2020年4月号)
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