昨年のSIHH2019で話題を独占した新機軸のコレクション「CODE11.59 バイ オーデマ ピゲ」をもって、クラシックとかヴィンテージとは決別したのかと思いきや、今年のオーデマ ピゲが披露した新作は、それとは対極をなすかのような、完全に復古調のクロノグラフだ。外見こそ1943年に製作されたオリジナルを再解釈したものだが、自動巻きクロノグラフ・ムーブメントは「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」に搭載されたものと同系の最新世代キャリバーなのだ。過去の音源を現代の先端技術で甦らせるのと同じ考え方の"リマスター"。発想や復刻技術に洒落がきいている。
オーデマ ピゲ・ヘリテージコレクションに収められた1943年の「1553」モデルのデザインを、ステンレススティールのケースとピンクゴールドのベゼルや、青いクロノグラフ針を配したゴールドダイアルまで現代向けに再解釈。40㎜に拡大したケース径、そしてフライバック機能と約70時間のパワーリザーブが備わる最新世代の自社製クロノグラフ・ムーブメントを搭載する。自動巻き。2気圧防水。500本ブティック限定。税別555万円。
復刻デザインと最新鋭ムーブメントとの融合は今や珍しくはない。興味を引いたのは、外見がまったく異なる「CODE11.59」と「リマスター01」で同じ系統の高性能エンジンを積んでいるところ。どちらかひとつに決められそうにない場合、"2本持ち"で楽しむのも一興だろう。
個人的にここ数年、気になっているコンビモデル。実際、トレンドのひとつになりつつあるのだが、「いかにも」ではないシックさを求めていただけに、ダイアルや針にラグと随所に漂う優雅さがストライク! 裏から覗くムーブメントも素晴らしく…。欲しい……。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
(ENGINE2020年6月号)
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