ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
大騒ぎした問題は起こることなく始まった西暦2000年代、ドイツメーカーはSUVという金脈を掘り当てた。1997年にデビューしたメルセデスMクラスを皮切りに2000年にはBMW X5が誕生。そして2002年にはポルシェがカイエンを投入し、SUVで稼ぎスポーツカーを作り続けるビジネスモデルを構築した。持続可能性、そして志、それを感じられるモデルを選んだ。
ボクスターとの部品の共有化、そして空冷から水冷エンジンへの転換。デザイン面では丸目からの脱却を図った、911にとって最大の転換期を迎えたタイプ996において、GT3の動的質感は圧倒的かつ今なお新鮮なもの。
かつての名車を現代に復活させるにはいくつものハードルがある。車重1110kgととにかく軽さにこだわり、かつ前後重量配分はもとよりウイングレスで空力性能を高めるためにRRでなくミッドにした点にも共感。
屋根を開けてただのドライブも楽しいし、サーキットではアンダーもオーバーもない素晴らしくニュートラルな旋回性能を味わえる。できれば6気筒をと981を選んだけれど、予算が許すならば718の6気筒も○。
ベタな話で申し訳ないが、やはり最新の911はイイ。運動性能が高く、実用性もあってGTとしての性能は抜群。ため息しかでない。
いいクルマを評するのに、タイヤひと転がりで違いがわかるというけれど、まさにそれ。スタイリングにも独自の世界観がみてとれる。
車重1トン以下のミッドシップピュアスポーツを6段MTで操ることの楽しさは格別。絶滅危惧種ゆえ、新車が買える今のうちに。
アンダー1000万円なのにオートクレーブ工法のCFRPモノコックを採用するなど、気合いと勢いで生み出された稀代の名車。
4世代、約30年にわたって、軽量、FR、最適な重量配分、そしてアフォーダブルであることを貫き通し、今や世界の名車になった。
サイズ、パワー、バランスの良さは天下一品。できるならば、M社謹製S55系エンジンを搭載したコンペティションを選びたい。
13年間フルモデルチェンジすることなく、いまだ一線級の運動性能は、その素性の良さを物語っている。日産の意地の見せどころ。
ルノーのトップガン、ロラン・ウルゴン氏の執念の結実。ニュルFF車最速もすごいけれど、日常使いできるバランスの良さがいい。
新型デビュー当時のデータだが、オーナーの平均年齢は53歳という。その年齢までには、いつかはコンチGT、そう願ってやまない。
ジャガーはSUVというけれど、その実はスポーツカー。重心高低く、重量バランスも良いため旋回性能はFタイプをも凌ぐ。
ランドローバーは、保守的に思えて実は先進的なブランドだ。これぞSUVクーペというべきスタイリングは、他とは一線を画すもの。
量産小型車にCFRPモノコックでBEVと時代を先取りしすぎた。生産中止と聞き購入検討中。
いまだ街ですれ違うと目で追ってしまう。電動化時代にこそもう一度復活を期待する1台。
コンパクト・カーの理想をつきつめた1台。内燃エンジンモデルとしては1つの完成形。
ボルボを変えた1台。インテリアのデザイン、素材の使い方、シートの出来のよさは秀逸。
プリウスを生んだトヨタだからこそ実現できた量産燃料電池車。中古車はバーゲンプライス。
現代に受け継がれるアメリカの良心。最新型は飛躍的に洗練された。リセールバリューも高い。
文=藤野太一(モータージャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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