ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
それが叶わぬ夢にせよ「今でもチャンスがあるならば!」と、恋心を寄せられるクルマがあるのは幸せなこと。この20年は日本も世界も間違いなくその興隆期と栄華を経験しており、そんな時代を生きたクルマの中で本当に自分が欲しい! と思えたものばかりを思い切り選んでみた。そしてこの遺産を糧に、大きく変わると言われる次の時代でも、同じ熱量のマイ・ホット20を語れたらと思う。
997カレラS由来の3.8L NAエンジンと適度に引き締めた足まわりでボクスターの実力を証明した名作。速さとバランス、そして快感を兼ね備えた走りはアドレナリン噴出もの。殿上人となっった964RSの志を受け継ぐ、ピュア・ポルシェ。
ゴルフII、Vに継ぐビンテージ(当たり)モデル。1.4TFSIのリニアな操作性とマルチリンクがもたらす乗り味の気持ちよさは完璧で、GTIいらずとすら思えるほど。ガソリン世代の最終形として、円熟の極みを手に入れる価値あり!
911GT3はどのモデルも時代ごとのトップ・アスリートで、期待を裏切られたことは一度もない。とはいえ991型で述べるならPDKを備えたことでEgブローの恐怖がなくなったのが何より嬉しい。個人的にはRSよりGT3の穏やかな操縦性が好き。
横置きミドシップの重心の高さを曲がりやすさにまで昇華させたロータスのセッティング能力には脱帽。25年変わらぬ姿勢はもはや文化遺産!
決して運動性能が高いとは言えず、むしろ雨ではスナップオーバーに怯える操縦性だったけれど、それを御して走ることこそがM2の魅力。
ミニバンが便利でもSUVが流行ろうともいつの時代もセダンの素晴らしさを思い知らせてくれる。ボクにとっては「いつかはSクラス!」
後輪操舵と本格サス・セッティングのコンビネーションで、FWDにもコントロールの喜びを与えたメガーヌR.S.。庶民派FR不在時代の救世主!
エリーゼとボクスターのいいトコ取りをした、操縦性の愉しさと実用性の高バランスに完敗。いま一番リアリティのあるスポーツカーだ。
シンプルかつ鋭さを持つスカンジナビアン・デザインの優秀性。フルサイズながらリニアな操縦性。ここから近代ボルボの快進撃は始まった。
電動化やインフォテインメントの先進性など無理に謳わなくても、見てるだけで気持ちがアガる。運転するだけで元気になれる最高の大衆車!
念願のFR回帰を果たしたときには時代がSUVへとシフト。いまいちその魅力を発揮できていないジュリアだが、走りの良さは間違いなく本物。
ブリティッシュ・レーシング・テイストをスーパー・スポーツの領域に持ち込み、近代マクラーレンの基礎を作った。あの感動は今も忘れない。
狂喜のNAサウンドと弾けるパワーを、まるで手の内に入れたと錯覚できるほど完成された電子制御技術。時代が許したV8フェラーリの究極。
伝説の継承と同時に「小さな高級車」というジャンルを開拓し、結果これを独占。大人が堂々と乗れる魅力的なコンパクトカーに成長した。
新型センター・デフや8段ATで日常性を高めたラングラーを、普段使いするのが最高にカッコいい。本物を持つ喜び。毎日がアドベンチャー!
後期型はもはやチューニング要らずの完成度。30年乗り続ければ初代と並び殿堂入り確実。
メルセデス・セダンの魅力を我々でも無理なく味わえる。後輪制御技術の安全性は世界一。
都会派を装いながらも初代から受け継ぐタフギア感は健在。乗り味が気持ち良い、隠れた名車。
スイスポ、GT-Rと並ぶニッポンの宝。ポルシェとハチロクがなかったら絶対に買っていた!
三菱スポーツ4WD技術の結晶。セダンじゃなくても構わない。何としてもその復活を望む!
文=山田弘樹(モータージャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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