20年間のエンジン"ホット100"ランキングの13位に輝いたのはBMWの電気自動車i3だ。i3で私たちはBEVは実現可能な未来だと知った。そのときのインパクトからすると、13位は残念だが、評者のポジティブ評価にほっとした。私と同様、1位に選んだのが渡辺慎太郎氏。「いまだこれを超える“健全な”電気自動車は登場していない」という意見にはげしく同意。ハードウェアの点から「初作にしてEVの究極的な存在感を示した傑作」とした島下氏や「カーボン・ボディや“狭幅大径”のタイヤを新作してまで挑んだ崇高なクルマづくり」と言い切った河村氏らのコメントには我が意を得た思いだ。
「バッテリーが空になったら大変、という不安を、レンジエクステンダーにより解消」(生方氏)や、「風力発電のみで動かす工場で組み立てられるように、カーボンを使って作るといった発想がユニーク」(竹岡氏)なるコメントを読んで、“新しい時代が始まるんだなあ”と発表時の感慨を思い出した。走りもじつは楽しい。「ハンドリングはBMWだ」とした西川氏の言に納得。さらに「ワン・ペダルで加減速できる新しい運転スタイルを生み出した功績は大きい」と編集部・新井氏がするように、アクセル・ペダルを放すとブレーキが効く(当時としては)画期的な操縦性も持ち味。吉田氏も同意見だ。充電のための二輪用エンジン搭載のシステムにも驚かされた。「東京から京都の手前まで一気に走れて実力の高さを知らされた」という金子氏の経験は貴重だ。個性的なスタイルを含めて、「高い志」(塩澤氏)は薄れていない。「生産中止と聞き購入検討中」とする藤野氏に、私も乗っかろうかな。ほんとに生産中止?
■BMW i3(レンジエクステンダーを含む)
全長×全幅×全高=4020×1775×1550mm、ホイールベース=2570mm、車両重量=1440kg。最高出力170ps/5200rpm、最大トルク250Nm/100-4800rpmを発揮するモーターをリアに搭載(レンジエクステンダー仕様は28ps/5000rpm&56Nm/4500rpmを発揮する発電用の647cc・2気筒DOHCユニットも搭載)し後輪を駆動する。
文=小川フミオ
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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文=小川フミオ(自動車ジャーナリスト)
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