20年間のエンジン"ホット100"ランキングの18位に輝いたのはシトロンのC6。21世紀のシトロエンはCで始まる車名を導入するとともに、過去の名車のエッセンスをデザインに取り込み、オイルとガスのサスペンションはハイドラクティブIIIプラスに進化した。C6はそんな流れの集大成として送り出されたフラッグシップだった。
なによりもその妖艶な姿に圧倒された。「DSやCXをリアルタイムで体験できなかったコンプレックスを慰撫してあまりある」(塩見智氏)、「ユニークなカタチを極めつつ破綻も無理もなかった」(西川淳氏)と、時空を超えた濃厚な美意識に感銘という意見が多い。
もうひとつはハイドラクティブの最終進化形IIIプラスがもたらす乗り心地だ。現世から浮遊したかのような乗り味は「雲上界の金字塔とでも言いましょうか」(清水草一氏)。昔のシトロエンを知る愛好家の多くが愛車としていることが、素晴らしさを立証している。
しかもC6は、フラッグシップとそれ以外の間に一線を引くという伝統も継承した。「デカダンス香る圧倒的な存在感は唯一無二」(藤原よしお氏)であり、「日本の好事家に『こういうのがシトロエンだろ!?』といわしめる最後のシトロエン」(佐野弘宗氏)である。一般向けテーブル席と、お得意さん向けのお座敷ぐらい違う。
その後PSAが構築したDSブランドは、この世界観に現代的解釈を加え独立させたものだと思っている。退廃的、耽美的という言葉が似合う最後のシトロエンとして、C6の価値は永遠だ。
■シトロエンC6
全長×全幅×全高=4910×1860×1465mm。ホイールベース=2900mm。車両重量1820kg。日本仕様は215ps/300Nmを発生する3.0L V6+6段ATのみ。サスペンションは俗に“ハイドロ”と呼ばれるガスとオイルを組み合わせた衝撃緩衝装置を搭載している。日本には2006年から2010年までの5年間に亘り導入された。
文=森口将之(モータ-ジャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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