コロナ禍の中、ランボルギーニから嬉しい招待状が届いた。最新モデルのドライビング・エクスペリエンスを開催するというのだ。むろん喜び勇んで駆けつけた。
スーパーカーとはいったい何を指すのか。それを定義するのはとても難しい。ある人はミドシップの高性能スポーツカーのことだと言い、またある人は漫画『サーキットの狼』に登場するクルマのことだと言うかも知れない。広辞苑には「高出力・高性能で、特徴的なデザインのスポーツ・カー」とあるが、では特徴的なデザインとはどういうものなのか、あまり具体的な定義とは言いかねる。
そもそもスーパーカーというのは和製英語で、今でこそ英語圏でも日本からの逆輸入で使われているようだが、本来は“エキゾチック・カー”という言葉が持つニュアンスが、もっとも近いのではないかと私は考えている。エキゾチックは本来、「異国情緒の」ということだが、この場合は「普通ではない」とか「エキサイティングな」という派生的な意味になるだろう。しかしそれでも、何を指すのかは判然としない。試しにネットでこの英語を入れて検索すれば、ランボルギーニからフェラーリ、ポルシェ、ロータスまで、様々なスポーツカーの写真が出てくるはずだ。

そこで思い出すのは、かつてこの編集部で机を並べていた今尾直樹前副編集長の言葉だ。「スーパーカーっていうのは、ランボルギーニのことを指すんだよ。もっとハッキリ言えば、カウンタックのこと」と彼はいつも言っていた。なるほどその通りかもしれない、と私も思う時がある。たとえば今回、「ドライビング・エクスペリエンス・アット・ザ・ホイール・オブ・ランボルギーニ」に参加して、最新のウラカン・エボRWDに乗っている時、カウンタックではなかったけれど、「これぞ紛れもなくスーパーカーだ!」という思いを強烈に抱いた。

今回のイベントは文字通り“エクスペリエンス”であって、試乗記を書くためにじっくりと乗るのではなく、一般道と高速道路を先導車の後ろについて体験走行するものに過ぎなかった。だから、今年1月にデビューしたばかりの後輪駆動版が、4WD版よりピュアなドライビングを実現した本能に立ち返るマシンだと説明されても、そんなことが感じ取れるような状況ではまるでなかったのである。しかし、4WDであろうと後輪駆動であろうと、そんなことはどうでも良かった。それ以前にこれがウラカンであり、ランボルギーニであって、それに〈いま・ここ〉で乗っているという事実が、私を“エキサイティング”な“普通ではない”世界へと導いていたのだ。

ドアを開けて極端に低い位置にあるドライバーズ・シートに着いた時から、すでに世界は変わり始めている。センター・コンソールにある赤いフタを開け、スターター・ボタンを押して背後の5・2LV10に火を入れた瞬間には、完全に“普通ではない”世界の中に踏み込んでいる。恐る恐るアクセレレーターを踏み込んで走り出す。極端に傾いたフロント・ガラスを通して眼の間に広がる風景も、背後から聞こえてくるエンジン・サウンドも、ずっしりと重いステアリングやペダルの感触も、すべてが特別であり、“エキサイティング”だ。青いクーペに20分、それから赤いスパイダーに乗り換えて20分。たったの40分ほどのドライブをしただけなのに、月にでも行って、いま地球に帰還したばかりの宇宙飛行士のような興奮を感じるのは何故だろう。それはやはり、これがランボルギーニであり、“スーパーカー”だからなのだとしか言いようがない。

その後、ウルスにも乗って、今度は箱根の峠道でヒルクライムとダウンヒルを楽しんだ。ウラカンに比べると、こちらは少しだけフツーのクルマに近づいた感覚がある、と思ったのも束の間、ひとたびモードをスポーツやコルサに変えて飛ばし始めると、まるでスーパースポーツカーのようなアグレッシブな走りを見せるのには舌を巻いた。巨体が嘘のようにグイグイ曲がり、急坂を駆け上がっていく。これもまたランボルギーニであり、“スーパーSUV”なのだ、と笑って頷くしかなかった。
■ランボルギーニ・ウラカンEVO RWD
駆動方式..........エンジン・ミドシップ縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高..........4520×1933×1165mm
ホイールベース..........2620mm
トレッド(前/後)..........1668/1620mm
乾燥重量..........1389kg
エンジン形式..........90度V型10気筒直噴DOHC
排気量..........5204cc
最高出力..........610ps/8000rpm
最大トルク..........560Nm/6500rpm
トランスミッション..........7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前)..........ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後)..........ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後)..........通気冷却式ディスク
タイヤ..........(前)245/35R19、(後)305/35R19
車両本体価格(税抜き)..........2412万6941円
■ランボルギーニ・ウルス
駆動方式..........エンジン・フロント縦置き4WD
全長×全幅×全高..........5112×2016×1638mm
ホイールベース..........3003mm
トレッド(前/後)..........1695/1710mm
乾燥重量..........2200kg
エンジン形式..........90度V型8気筒DOHCツインターボ
排気量..........3996cc
最高出力..........650ps/6000rpm
最大トルク..........850Nm/2250-4500rpm
トランスミッション..........8段AT
サスペンション(前)..........マルチリンク/エアスプリング
サスペンション(後)..........マルチリンク/エアスプリング
ブレーキ(前後)..........通気冷却式ディスク
タイヤ..........(前)285/45R21、(後)315/40R21
車両本体価格(税抜き)..........2607万5736円
文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ランボルギーニ・ジャパン
(ENGINE2020年11月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ランボルギーニ・ジャパン
advertisement
2026.03.30
LIFESTYLE
MITSUBISHI MOTORS OUTLANDER PHEV …
2026.03.25
CARS
フェラーリ新型、オペラの余韻に現れた「アマルフィ・スパイダー」が日…
2026.03.29
CARS
人と被らないクルマがいい イタリアのブランド『PT TORINO』…
2026.03.22
CARS
「服でいうならバラクータとか、バブアーみたいな感じ」日本を代表する…
2026.03.19
CARS
乗り心地の良さに大満足|新時代を告げる「アルファ・ロメオ・ジュニア…
2026.03.20
LIFESTYLE
50年前に建てられたとは思えないモダンなビンテージ住宅 古びること…
advertisement
2026.03.24
「狂ったか!?」と叫びたいほど速かった|モータージャーナリストの清水草一ら2人がBMW「M5ツーリング」に試乗
2026.03.22
超ワイド&ローのスタイルに昭和育ちは思わず感涙|大井貴之ら3人のモータージャーナリストがアウディ「RS e-トロンGTパフォーマンス」に試乗
2026.03.24
コストコやIKEAの買い物も余裕の羊の皮を被った狼|モータージャーナリストの国沢光宏ら3人がBMW「M5ツーリング」に試乗
2026.03.28
この世からOHVが無くならなくて本当によかった|シボレー「コルベット3LTクーペ」に清水草一ら3人のモータージャーナリストが試乗
2026.03.25
価格が約399万円と聞いて驚かない人はいない|BYD「シーライオン6」に飯田裕子ら2人のジャーナリストが試乗、ガソリン高騰時代の切り札か