2020.11.25

CARS

【メルセデス・ベンツ300TE(1992) 長期レポート ♯48】しっとりとした走りが蘇った!

過去13年間分の雑誌記事をWEBで再掲載している連載です。毎週水曜日12時更新。


***


編集部にやってきてから、4年間で13万kmも走った44号車。 ガタガタとひどい振動が出るようになり、再び芝浦のヤナセへ。


ガタガタガタ……。

「こりゃ、すごい。エンジンをフレームに直付けしてるラリー・カーに乗ったことを思い出した」


久しぶりに44号車の助手席に乗った本誌シオザワが、振動のヒドさに驚いている。先月、芝浦のヤナセで点火系の部品を交換したときに、メカニックから「エンジン・マウントも限界です」と言われていた。その時点では、もうちょっと我慢しようと思える振動だったが、症状がイッキに悪化してしまったようだ。


「W124のエンジン・マウントは約6万kmで交換を薦めています」


お世話になっている大西浩行アドバイザーが言う。44号車は08年9月、走行距離3万4000kmで編集部にやってきたとき、エンジン・マウントを交換している。でも、それから13万kmも走っているのだから、ガタガタいうのも当たり前か。


W124のエンジン・マウントは金属製で直径約15cm、高さ約15cm15cmの円柱型。底には分厚いゴムがついていて、 なかにはシリコン・オイルが密閉されている。


左右2カ所にあるエンジン・マウントと、ATを支えるゴム製のマウントを交換する。


新品のエンジン・マウントと並べると、潰れているのがわかる。エンジンはアクセル・オンで右へ傾くので右のマウントが一番潰れていた。

作業が終わるまで、ヤナセの本館や工場を見学した。というのも、2012年11月のヤナセ新社屋オープンに伴い、現在の本館と工場が取り壊されるからだ。1962年に完成した本館は、世界各国から輸入した大理石が壁、柱、階段などに使われた、とても趣のあるオフィスだ。65年の東宝映画「日本一のゴマすり男」では、主演の植木等扮する輸入車セールスマンが、ここを舞台に大活躍1 した。確かにキャディラックのショールームなど、どこか懐かしい昭和の臭いがあった。


現本社工場ではこれが最後のメインテナンスとなるはずの44号車が出てきた。エンジン・マウント交換後のアイドリングのなんと静かなことか! しっとりとした乗り心地も蘇った。7万円強でこんなに良くなるならもっと早くやればよかった。また、走行距離が伸びそうです!


現在のヤナセ本社社屋(左の黒い建物)は1962年に設立された。半世紀を刻み、新社屋へバトンを渡す。
44号車の面倒を見てくれる頼もしいスタッフたち。左から菅野清高さん、大西浩行さん、高橋健司さん。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=柏田芳敬


■44号車/メルセデス・ベンツ300TE
MERCEDES-BENZ300TE
購入価格:168万円
導入時期:2008年9月
走行距離:3万4570km+16万3700㎞


2008年にENGINE編集部は「長期テスト44号車」としてメルセデス・ベンツ300TE(1992)を購入。1984年にデビューしたこの124型は「消耗部品をちゃんと交換していけば新車同然の状態で長く使える」と言われた名車で、それを検証すべく連載スタート。購入時の走行距離が3万4000㎞だった44号車は、12年後の2019年に走行距離30万キロを突破し、いまだ現役です。


(ENGINE2013年1月号)

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文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=柏田芳敬

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