パテック フィリップのグランドコンプリケーションのムーブメントは、手作業で精緻に組み上げられ、磨き上げられた至宝のメカニカルアートは目を奪う美しさ。456個もの部品から成り、複雑に機能するムーブメントは、もはや小宇宙といっても過言ではない。スーパースポーツカーにとってエンジンが大切なように、時計選びもエンジン=ムーブメントがキモなのだ!
1839年にジュネーブで設立され、1851年に創業者と時計師の名を組み合わせたパテック フィリップを社名にしてから来年でちょうど170周年。その長い歴史を通じて時計を動かす原動力のエンジン、すなわち機械式ムーブメントの技術革新にたゆみなく取り組み、世界に誇る最高品質を実現してきたことで有名だ。
歴史的な懐中時計では、数々の超複雑時計を開発して名を馳せ、また腕時計では、永久カレンダー搭載クロノグラフや、世界各地の時刻がひとつのダイアルで読み取れるワールドタイムといった実用複雑時計の分野でも先駆者となり、その豊かな伝統は今に受け継がれている。
またコンプリケーションの最高峰とされるリピーターとソヌリにおいては種類や生産数において世界屈指。まさにエンジンのスペシャリストだ。
現在パテック フィリップの自社ムーブメントは数十種類に及ぶ。いずれも伝統的な設計を継承する手堅い造りが特徴なのは、デザイン同様にムーブメントにおいてもオーセンティックな価値を大切にしているから。斬新な設計を競う自動巻きクロノグラフが多くあるなかで、パテック フィリップのクラシカルなモデルが手巻きなのはそのためだ。
代表例は5270モデル(2つ上の写真)に搭載されているキャリバーCH 29-535 PSQである。1941年以来の伝統を継承して永久カレンダーとクロノグラフ、2つの複雑機構を併せ持つこのキャリバーは、水平クラッチやコラムホイールといった古典的な構造を継承しながらも、クロノグラフに関しては6件の技術特許を有し、現代の最も革新的なムーブメントに数えられる逸品である。
自動巻きムーブメントにも傑作は多い。パテック フィリップは1953年に自動巻き機構で技術特許を取得して以来、巻き上げ効率の高い高性能の自動巻きムーブメントを次々に開発して名声を得た。大型のセンターローターでは、現行のキャリバー324がその系譜に連なる。
またマイクロローターを搭載して超薄型化を図ったキャリバー240は、1977年に技術特許を取得し、キャリバー324と同様にシンプルなモデルから高度な複雑モデルにまで幅広く活用されている。
全ムーブメントに共通するのは、世界で最も厳格とされる基準を設けて検査し、品質を自社で保証するパテック フィリップ・シールの認証が付されている点。パテック フィリップは、何世代も受け継がれることを前提にしてタイムレスで価値ある時計を作ることをポリシーとし、アフターサービス体制も万全に整える。時計のエンジンに絶大な信頼性があるのもそのためなのだ。
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文=菅原 茂 写真=近藤正一 スタイリング=仲唐英俊
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