ブランドを象徴するグランドセイコーブルーのダイアルに浮き立つ真紅の秒針は、毎秒10振動のハイビートならではの滑らかなステップを踏む。1960年代にスイスの天文台コンクールで優れた成績をおさめて以来、セイコーはメカニカルハイビート技術を熟成させてきた。そのひとつの集大成が、このモデルが搭載する新型Cal.9SA5である。
時をカウントするテンプは、4つのウェイトの出し入れで歩度調整をするフリースプラングを初採用。ヒゲゼンマイも外側終端を持ち上げ、内側に曲げることで伸縮時の偏心を解消する巻き上げヒゲが、やはり初めて導入されている。これら2つにより、等時性は格段に良くなった。そして何より革新的なのが、まったく新しい脱進機である。
一般的なスイスレバー式と同じくアンクルに備わる2つの爪石に加え、テンプの軸(天真)に第3の爪石を装備。テンプの振動に順応するこの第3の爪石がガンギ車の歯先を直接打ち、駆動効率を大幅に向上させたのだ。名付けて、デュアルインパルス脱進機。ハイビートも、これでより安定し、高効率であるため燃費も良く、80時間のロングパワーリザーブもかなった。グランドセイコー60周年を寿ぐにふさわしい革新的なムーブメントが、誕生した。
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文=髙木教雄 写真=近藤正一 スタイリング=仲唐英俊
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