2022.12.14

CARS

GRカローラの6段MTと4WDシステムはGRヤリス用をベースに細かくアレンジして最適化

カローラの5ドア・ハッチバック「カローラ・スポーツ」にGRヤリスのエンジンやドライブトレインを移植したスポーツ・モデルのGRカローラ。1.6リッターで300ps超の高出力を絞り出すエンジンもさることながら、もはや絶滅危惧種になりつつある6段MTと前後のトルク配分を自在に操る油圧多板式の4WDシステムもGRカローラの走りを支える重要なユニットのひとつだ。

稀少な3ペダル仕様のみ

トランスミッションは「iMT」と呼ばれる変速時にエンジンの回転数を合わせる機能を持つ6段MTを採用。スーパースポーツカーでも2ペダルが主流となっている今、ホンダ・シビック・タイプRと並んで3ペダル・モデルしかラインナップしていない貴重な存在だ。



モデル毎に細かくチューニング

GRカローラの標準モデルに搭載されるトランスミッションの1〜6速の変速比は3.538/2.238/1.535/1.162/1.081/0.902と、GRヤリスと共通だ。ただし、1〜4速が4.058で、5速と6速、後退が3.450という減速比は、GRヤリスの3.941と3.350から変更されている。また、限定車のモリゾウエディションでは1速を3.214、3速を1.592とすることで1~3速をクロスレシオ化し、減速比を4.250と3.578へ変更している。

GRカローラ及びGRヤリスとも変速段数によって減速比が異なるため、1~6速までのステップ比を比べるために変速比×減速比の値を記す。



GRカローラとGRヤリス用を比較

GRカローラ:14.357/9.082/6.229/4.715/3.729/3.112
GRカローラ・モリゾウエディション:13.660/9.512/6.766/4.939/3.868/3.227
GRヤリス:13.943/8.820/6.049/4.579/3.621/3.021
(いずれも1速/2速/3速/4速/5速/6速の順)

GRカローラとGRカローラ・モリゾウエディションを比べるとモリゾウエディションが全体的にクロスレシオ化されているのがわかる。高速側の5、6速も低くなっているのでゆったり静かに走るには向いていないが、その分だけ加速性能は期待できる。また、GRカローラとGRヤリスを比較するとGRカローラの方がロー・ギアード化されているが、おそらく増加している車両重量をカバーするためだろう。



前後駆動力配分が選択可能

駆動系には油圧多板クラッチ式アクティブ・トルクスプリット4WDシステムの「GR-FOUR」を採用。GRヤリスで導入されたものだが、スーパー耐久に参戦している水素エンジン・カローラで得たノウハウを活かし、GRカローラへの最適化が図られた。4輪駆動の作動モードは3つ。前後駆動力配分を60:40、30:70、50:50に切り替えることができる。選択はセンターコンソールのスイッチで行い、フロント寄りとリア寄りの配分はダイヤルで、等分のトラックモードはダイヤル中央のボタンで選択する。

さらに前後デフにはトルセン式LSDを採用。路面状況の変化に対応して瞬時にトルク配分を最適化し、コーナリング時の立ち上がり加速改善や、コントロール性能の安定化に寄与する。

走行モードは「エコ」、「ノーマル」、「スポーツ」と、各部を好みに合わせて設定できる「カスタム」の4つ。カスタムではパワートレインとステアリング、エアコンの作動状況を個別に変更できる。また、スポーツとカスタムで選択できる「エキスパート」モードでは姿勢安定制御の介入を最小限に抑えることが可能になる。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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