2023.01.26

LIFESTYLE

コリン・ファレルのオスカー受賞は確実? 今年度を代表する傑作! 男2人の奇妙な対立を描く映画『イニシェリン島の精霊』

キャリア最高の演技を見せるコリン・ファレル。悲願のオスカー受賞となるか?

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アイルランドの島を舞台に、2人の男の対立を描いた映画『イニシェリン島の精霊』。今年度を代表する傑作との声が高まる中、主演のコリン・ファレルは、3月に発表される米アカデミー賞で受賞確実と言われている。

一級の才能が集結

前作『スリー・ビルボード』で、フランシス・マクドーマンドに2度目のオスカーをもたらしたイギリスのマーティン・マクドナー監督。5年ぶりの新作『イニシェリン島の精霊』が全米で公開され、今年度の賞レースの本命作品として再び注目を集めている。



1923年、のどかな牧草地が広がるアイルランド西海岸沖の島、イニシェリン島。平凡だが善良な男、パードリック(コリン・ファレル)は突然、年長の親友コルム(ブレンダン・グリーソン)から絶交を言い渡される。嫌われた理由がまったく分からず、ただただ途方に暮れるパードリック。島民を巻き込んだ、友情を取り戻すための様々な試みもすべて空振りに終わる。そんな2人の関係は、次第に取り返しのつかない事態へと発展していき……。

まるで不条理劇のような、奇妙な味わいを持った本作は、男2人の対立を描いたミステリーのようにも、人を食ったブラック・コメディのようにも見える。そもそもコルムはなぜ親友に絶縁状を叩きつけたのか?

マクドナー監督のストーリーテリングの妙、そして役者たちの最高のアンサンブルが、観客を答えの見つからない迷宮世界へと誘い込んでいく。アイルランドの雄大な自然の中で語られる人間たちの悲喜劇は、さながら神の視点で語られているかのよう。一級の才能が集結した、見事な出来栄えの作品だ。

■『イニシェリン島の精霊』
ヴェネツィア映画祭では脚本賞と男優賞(コリン・ファレル)を受賞し、全米の賞レースでも複数賞での受賞が予想される。脚本は、作品の舞台となるアイルランドに自らのルーツを持つマーティン・マクドナー監督が執筆。対立する2人の男を演じたコリン・ファレル、ブレンダン・グリーソンのほか、主人公の妹を演じるケリー・コンドン、風変わりな若者に扮したバリー・コーガンといった、脇を固める役者たちの存在感も素晴らしい。ちなみにイニシェリン島は架空の島で、撮影はアイルランドのいくつかの島で行われた。114分。配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 1月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー (C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2023年2・3月号)

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