2023.05.25

CARS

万能無敵のゴルフ! 乗ってびっくり、フォルクスワーゲン・ゴルフRヴァリアントの走り味は?

フォルクスワーゲン・ゴルフRヴァリアント

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フォルクスワーゲンの大黒柱でるゴルフのワゴン、ヴァリアントは恐ろしく使い勝手のいい万能車である。その最強モデル「R」は、驚くほど上質かつ高性能な万能車だ。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。

ほかのゴルフより一枚上手な印象

フォルクスワーゲン・ゴルフの最強版「R」にはハッチバックだけでなくワゴンのヴァリアントも用意されているのが特徴だ。パワーユニットは従来通りの2.0リッター直4直噴ターボながら、320ps/420Nmを発生する。この数値はティグアンRと同じで、先代モデルのゴルフRに比べて10psと20Nm強力になっている。ギアボックスはデュアルクラッチ式7段自動MTのDSG、4モーションと称する電子制御システムで100:0~50:50に駆動力を配分する4WDであることも従来通りだが、左右のリア・アクスルにそれぞれ電子制御油圧多板クラッチを備え、左右後輪間のトルク配分も制御する「Rパフォーマンストルクベクタリング」なるシステムを搭載、可変ダンパーの「DCC」や電子制御デフロックの「XDS」とともに統合制御されるという。0-100km/h加速はハッチバックの4.7秒に対して60kg車重が嵩むヴァリアント(1600kg)は4.9秒という。





ハッチバックに比べ全長が35cmほど、ホイールベースも5cm長く、上記のように車重も重いヴァリアントは、ハッチバックのRほど俊敏に向きを変えるわけではないが、それでもトルクベクタリング機能付き4WDの効果で、山道で意図的にパワーをかけてもまったく安定して速い。むしろパワーをかけるほどに、フロントの接地感はそのままにグイグイと回り込んでいくコーナリングを最初はちょっと不思議に感じるが、一旦慣れれば荒々しさなど微塵も見せないイージーな速さに驚くばかりである。その上乗り心地もむしろほかのゴルフより一枚上手な印象で、硬めではあるもののスムーズなストローク感がある。「ドライビング・プロファイル」と称するドライブ・モードはコンフォート/スポーツ/カスタムに加えてレースが設定され、そのレース・モードを選べばそれなりにハードな反応を示すが(カスタム・モードではそれ以上に硬くすることも可能)、路面状態に応じてモードを選べばビシッと締まった頑健な脚まわりがむしろ頼もしく、それは高速道路などでも同様だ。排気音だけは猛々しいものの、ガツガツ手に負えないほどの獰猛なスパルタンさではなく、高性能だが上質なプレミアム・ゴルフが現代のRの姿である。

ただし、その分安くはない。650万円余りという価格は先代モデルに比べてざっと50万円高くなっているが、パフォーマンスに加えて実用性や快適性などを考え合わせると、それも当然かなあ、とその値段も納得せざるを得ない万能無敵のゴルフである。

文=高平高輝、写真=望月浩彦

(ENGINE2023年6月号)

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