2025.11.01

LIFESTYLE

築55年のマンションを、モダンにリノベーション 地方出身の建築家夫婦がこの場所を選んだのは、とあるモノに近いから

空間を設計する事務所「kii」(きい)を主宰する新井里志さん(40歳)と、中富慶さん夫妻の自宅兼オフィス。シンプルで色が溢れる、個性的なインテリア。

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中古マンションを自分らしくリノベーションする人が増えている。今回訪ねたのは、築55年の建物を住まい兼オフィスに変えた建築家のご夫婦の空間だ。仕切りのないワンルームの最上階、三方の窓から光が差し込む心地よさに包まれる。リポートするのは、雑誌『エンジン』の人気連載「マイカー&マイハウス」を手がけるデザイン・プロデューサーのジョースズキ氏だ。

100軒の候補から見つけた100平方メートルの部屋

この部屋は、築55年になる約100平方メートルのマンションをリノベーションした、新井里志さん(40歳)中富慶さん夫妻の自宅兼オフィスだ。2人は、空間を設計する事務所「kii」(きい)を主宰しており、この部屋のインテリアも手掛けている。12年前に結婚し、共同で事務所を立ち上げたのはその翌年のこと。以来、東京23区内で、自宅兼オフィスを何度か住み替えた。



この部屋を見つけたのは、コロナ禍の時期。通りに誰も居なくなった街をゆっくり散歩し、建物を眺めながら引っ越したら楽しく暮らせそうな部屋を妄想することが、その頃の新井さんの気分転換だった。

しかも妄想は、建物の何階の何番目の部屋というピンポイントのもの。100軒ほどが候補に挙がった。しかもそれを妄想で終わらせることなく、候補全てを知り合いの不動産会社に連絡し、空きが出たら連絡してもらえるようお願いしていた。

引っ越す場合に重要だったのは、贔屓にしている喫茶店まで通えるエリアであること。2人はそれぞれ群馬県と福岡県の地方育ちで、上京後に仲良くなった、「東京のお父さん」とも言うべき喫茶店のマスターがいた。

「今の時代、あのような人はそうそう居るものではありません。母が上京してきたら、家までお菓子を持ってきてくれたり、車が故障したら貸してくれたり。マスターには、本当に助けられました」

2人が乗っているのは25年もののジープ・チェロキー。仕事で制作した模型を運ぶのに便利なうえ、クルマがあると行動範囲が広がるのだ。赤いクルマに「チェロ吉」と名前を付けてドライブを楽しんでいる。

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